2005 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトの分化タイミングを決定する細胞内分子時計の解明
Project/Area Number |
16300109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳元 康人 東京大学, 工学部, 特任講師 (70261170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 浩一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40312136)
山本 英幸 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70373529)
芋川 浩 福岡県立大学, 看護学部, 助教授 (90373274)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 発生 / 分化 / 生物時計 / 甲状腺ホルモン / 視神経 |
Research Abstract |
16年度の研究結果より、オリゴデンドロサイトへの分化刺激である甲状腺ホルモン添加後6時間から8時間の間に、特異的なタンパク質合成が起こる事がMS解析により明らかになった。このタンパク質合成が転写因子P53の活性化に先立つものか、それともP53の活性化の結果誘導されたものかを明らかにするために、純化後10日間、甲状腺ホルモンを含まない無血清培地で培養したオリゴデンドロサイト前駆細胞に甲状腺ホルモン添加後し、それらを2時間ごとにBrdUでパルスラベルすることによりDNA合成と新規タンパク質合成の時間的タイミングを調べてみた。その結果、甲状腺ホルモン添加後12時間まではBrdUでラベルされる細胞の比率は、甲状腺ホルモンを添加しなかったコントロール系と比べて差が無いことが分かった。しかしながらこの結果は、細胞生物学的な観察結果と著しく矛盾する。顕微鏡による観察では、甲状腺ホルモン添加後ただちに細胞の増殖は停止し分化に伴う形態変化が始まる。つまり、オリゴデンドロサイト前駆細胞の場合、細胞は増殖を停止したにも関わらずDNA合成は継続しているという非常に驚くべきデーターが得られた。また、転写因子P53の活性化(核内濃度上昇とリン酸化)を免疫細胞染色法で調べたが、用いた3種類の抗体のいずれもバックグランドが高く明確なデーターを得る事が出来なかった。オリゴデンドロサイト前駆細胞の純粋培養は使える細胞数が少ないのが難点であって、生化学的な解析は困難であるが、今後はウエスタン法のような解析を用いてみる事も検討したい。R71遺伝子産物に対するポリクローナル抗体を作製した。大腸菌を用いてラットR71組み換えタンパク質を大量調製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で特異バンドを切り出して精製を行った。精製したR71タンパク質を用いてウサギ3羽を免疫した後に、全血採取し、プロテインAカラムとR71アフィニティカラムを用いてポリクローナル抗体を作製した、この粗製抗体を用いて組み換えタンパク質を発現させた大腸菌ライゼートをウエスタンブロット解析したところ、確かにR71組み換えタンパク質を特異的に認識する事が分かった。P7ラットよりの脳、肺、心臓、腎臓、肝臓、脾臓よりライゼートを調製し、ウエスタンブロットにかけたが予想する位置に特異的なバンドは予想された位置に見られなかった。また純化したオリゴデンドロサイト前駆細胞、オリゴデンドロサイト、アストロサイトのライゼートを用いたウエスタンブロットでも特異的なバンドは予想された位置にバンドは見られなかった。R71タンパク質はリン酸化サイトをC末端に3カ所持っているが、それにしても全く近傍にバンドが見られなかったことから、R71遺伝子産物はタンパク質としては読まれていない可能性があるという結果が示唆された。
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Research Products
(3 results)