2005 Fiscal Year Annual Research Report
世代間のコミュニケーションや他者理解を促進するための生涯スポーツ実践に関する研究
Project/Area Number |
16300196
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
関根 正美 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50294393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 孝幸 長崎大学, 教育学部, 助教授 (00156332)
深澤 浩洋 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50313432)
石垣 健二 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20331530)
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Keywords | 身体関係 / コミュニケーション行為 / 身体的な意味生成 / 世代の交流 / スポーツ倫理 / 知覚経験 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に沿った研究課題は次の二つの点であった。すなわち、1.生涯スポーツにおける身体関係が世代間のコミュニケーションにどう貢献できるか、2.身体を介しての他者理解は意識面のみを通した他者理解とどのような面で異なるか、である。まず第一の点であるが、以下の点が明らかにされた。(1)コミュニケーションの位相は種々存在するけれども、身体関係によって生み出されるコミュニケーションとは共通の意味を作り出すことである。(2)そのようなコミュニケーション行為を促進するためのスポーツ実践は、人間相互の関心をスポーツ参加者に呼び起こすことで可能になると考えられる。(3)生涯スポーツ実践の中でコミュニケーション行為の成立を図るのであれば、「関心」と「共感」を参加者相互に生み出す場の設定が必要である。(4)コミュニケーションによる身体的な意味生成は人間にとって新たな世界と地平を開示する。その際重要なことは、世代間の中で上の世代が身体運動によって地平の拡大を行うことで同時代に生きる異なる世代の交流が意味を持つようになる。第二の点については以下の点が明かにされた。(1)スポーツ倫理の成立基盤は身体を軸とした他者との共通性に求められる。(2)スポーツの世界を基礎づけているその信頼は、知覚経験を通した身体の共通性からもたらされる。他者に対する倫理の根源は知覚経験を通した身体の共通性に存在する。競技の中で相克の関係にありながらも、競技者を倫理的関係につなぎとめるものは、知覚経験を通した身体の共通性である。
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