2006 Fiscal Year Annual Research Report
世代間のコミュニケーションや他者理解を促進するための生涯スポーツ実践に関する研究
Project/Area Number |
16300196
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Research Institution | OKYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
関根 正美 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50294393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 孝幸 長崎大学, 教育学部, 助教授 (00156332)
深澤 浩洋 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50313432)
石垣 健二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (20331530)
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Keywords | 身体活動 / 意味生成 / 身体的な超越論的他者 / 記録と物語 |
Research Abstract |
本年度は3年計画の3年目であり、本年度の具体的な研究課題は当初の計画で設定された5つの研究課題の内、最後の研究課題が中心になった。なおかつ、3年間の研究の総括を行うことも同時にもとめられた。本年度の成果は以下の通りである。1)現代社会はコミュニケーションや自己の存在感が希薄になった時代との指摘を元にして、体育という教育的な営みから身体活動を通じての「意味生成」の可能性と条件を明らかにした。その結果、コミュニケーションが意味生成の鍵となっていることが明らかになった。2)世代間のコミュニケーションを促進するための生涯スポーツのあり方は、記録重視の実践から物語の創出を可能にする実践へのあり方が主張された。世代間のコミュニケーションや他者理解を促進するための生涯スポーツは、単に高齢者スポーツを意味するのではない。競技スポーツも含めた実践のあり方が追求される必要がある。その時に、スポーツの中に創出された物語は世代を超えて受容される可能性が主張された。その根拠は、とりわけ記録よりも物語が若い世代に影響を与えるからである。3)他者理解とは言葉による理解で尽きるものではない。そこでわれわれは、「身体的な超越論的他者」という概念を使って、他者の運動や身体的な知覚・感覚を理解する次元について考察を行った。3年間の研究課題の総括として次のことが明らかになった。すなわち、生涯スポーツ実践において世代が共有しうる意味生成と物語の創出をすることで、世代間のコミュニケーションや他者理解を促進する活動になる。そしてそれは、健康などと並ぶスポーツの新たな価値になるのである。
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