2007 Fiscal Year Annual Research Report
アスリートのスポーツ障害発生の予測および予防に関するバイオメカニクス的研究
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16300201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿江 通良 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10175721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 範久 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (10261786)
向井 直樹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70292539)
白木 仁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90206285)
小池 関也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50272670)
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Keywords | 歩行動作 / バイオメカニクス / 動作分析法 / アスリート / 左右差 / 逸脱度 |
Research Abstract |
本年度(最終年度)には、被験者数を増やしながら(最終的には200名)、これまでにVicon(3次元自動動作分析システム)を用いて収集した112名のアスリートの歩行動作に関するデータをバイオメカニクス的に分析し、下肢障害および疼痛の有無と下肢kinematicsおよびkineticsとの関係を左右差および逸脱度に着目して検討した。疼痛部位に着目してkineticsについて得られた結果をまとめると、下記のようになる。 (1)腰痛群の特徴は、支持期における股関節屈曲伸展トルクの逸脱度に表れた。これは、股関節伸展筋群の活動が非疼痛群より大きく、股関節伸展筋群の筋力・パワー発揮を増大することで体幹の過度の前傾を防いで姿勢を保持し、腰部への負荷を軽減させていたためと考えられる。 (2)股関節疼痛群の特徴が支持期における股関節屈曲伸展トルクおよび足関節底背屈トルクの逸脱度に表れた。これは、股関節伸展が大きくなって疼痛を増すことをさけるため足関節底屈筋群の出力を抑制し、その代償として股関節屈曲筋群が活動して大腿の伸展を抑制するとともに大腿をpull-offしたとも考えられる。 (3)膝関節疼痛群の特徴が支持期における股関節内外転トルクの逸脱度に表れた。膝関節疼痛群では膝伸展による負のパワーの低下を代償するために股関節外転筋群の負のパワーがより発揮されたものと推測される。 (4)足関節疼痛群の特徴が支持期における足関節底背屈トルクの逸脱度に表れた。また足関節疼痛群では、他の疼痛群と異なり、疼痛側の底屈トルクが非疼痛側より大きかった。回復中の歩行パターンを維持するためやバランス保持のために無意識的に出力が大きくなり、その影響が関節トルクや関節トルクパワーの出力のコントロールに残っていたとも考えられる。 以上の結果およびこれまで煮えられた知見から、アスリートの下肢における疼痛、正常歩行動作パターンからの逸脱度、左右差などを検討することによって障害発生の予測や予防が行なえる可能性が示唆された。
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