2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨格筋におけるストレス蛋白質の発現とその応用に関する研究
Project/Area Number |
16300212
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (70188861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 尚 順天堂大学, 医学部, 教授 (50010301)
杉浦 崇夫 山口大学, 教育学部, 教授 (80136150)
形本 静夫 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50053343)
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Keywords | ヒートショックタンパク質 / HSP70 / 外側広筋 / 遅発性筋痛 / ハイパーサーミア / 筋温 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国:トルコ共和国 |
Research Abstract |
HSP(Heat Shock Protein)の持つシャペロン機能および防御・修復機能が,トレーニングによる運動のパフォーマンスの向上や,また身体運動が健康に対してもたらす様々な効果を説明するための新たな基礎概念になりうることが示唆されている。しかしながら,運動時に最も激しい内部環境の変化に曝される筋組織,特にヒト骨格筋におけるHSPに関する研究はあまり行われてはおらず不明な点が多い。本年度は,局所的な温熱負荷によって,研究(1):ヒト骨格筋のHSPを安全かつ有効に誘導するための方法,研究(2):遅発性筋痛に対する影響,について検討を加えた 研究(1)では,新たに開発中のマイクロ波温熱付加装置(ALBAハイパーサーミア・システム)を用いて,目標皮膚温40℃,パワー出力40Wで,30分間の温熱を外側広筋に負荷し,皮膚温および筋温(深さ25mm)を連続的に測定した。筋生検はパンチ式のニードル法を,HSP分析はウェスタンブロッティング法を用いて行った。その結果,ALBAハイパーサーミア・システムを用いた温熱負荷は,筋温だけを45℃程度まで上昇させ,HSP72発現が従来型のマイクロウェーブ温熱負荷装置よりも大きなことが明らかとなった。なお,特に問題となるような副作用は観察されなかった。研究(2)では,プレコンディショニングとして従来型のマイクロウェーブ温熱負荷装置を用いて20分間の温熱を上腕部に負荷し,伸張性筋収縮によって発生する遅発性筋痛の軽減に関する評価を行った。その結果,遅発性筋痛発生後の筋痛からの回復促進にはあまり大きな効果は期待できないが,伸張性運動後に生ずる筋痛の大きさ(ピーク値)およびそれに伴う筋の機能的な低下を軽減する効果が観察された。 今後はさらに,温熱負荷によるHSP発現の消長と,それによって期待される様々な効果との時間的関係を明らかにしていく必要性があるものと思われる。
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Research Products
(5 results)