2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300288
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
臼杵 勲 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (80211770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴丸 俊明 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (50188645)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 情報資料部, 助教授 (60270401)
加藤 博文 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60333580)
高瀬 克範 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (00347254)
福田 正宏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 北海道 / 放射性炭素年代 / 暦年代補正 / 古地磁気 / 古代 / 近世 |
Research Abstract |
平成16年度の検討に基づき、17年度は発掘時に状態を確認しながら放射性炭素年代測定の試料採取を行うこと、オホーツク文化に加え、擦文文化・続縄文文化の試料・分析例を増やしすこと、他の年代測定法との比較等を目的として、試料採取・処理・分析を進めた。7〜9月に、臼杵・坂本・福田によりモヨロ貝塚、トコロチャシ遺跡においてオホーツク文化の家屋部材からサンプル採取を行い、また常呂町埋蔵文化財センターにおいて常呂川河口遺跡の続縄文〜アイヌ時代の試料を採取した。また、臼杵が厚真町上幌内モイ遺跡において、擦文文化の試料を採取した。また、高瀬はカムチャッカにおいてアイヌ関連試料を採取した。なお、16年度からの課題であった海洋リザーバー効果の影響を確認するため、モイ遺跡、モヨロ貝塚、常呂川河口遺跡では土器付着炭化物と炭化材・種子等の植物試料とともに、土器付着炭化物も採取した。 モヨロ貝塚、トコロチャシにおいてはBtmなどのマーカーテフラが良好に確認されたため、火山灰降下年代との比較が可能であった。また、モヨロ貝塚、上幌内モイ遺跡においては、富山大学酒井英男の研究グループによる、古地磁気年代法との連携を行い、同一遺構からの試料採取も試みた。 以上の試料を坂本が、10〜1月にかけて国立歴史民俗博物館において前処理を行い、1〜2月にベータ社、加速器質量分析研究所で年代測定を行い、さらにその結果を坂本が暦年代補正を行った。 測定・補正の終了後、研究参加者により結果の検討を行った。植物試料においては、ほぼ想定どおりの年代が得られたが、個々の結果の誤差範囲が比較的広く、ウイグルマッチングなどでさらに絞り込む必要性がある。続縄文前期BC4-3世紀、続縄文後期AD2-3世紀、オホーツク文化中期AD6-7世紀、同後期AD7-8世紀、擦文文化中期10-11世紀という結果が得られた。モイ遺跡のアイヌ期と思われた遺構の年代は13-14世紀と中世アイヌ期になる可能性があることは注目される。また、土器付着炭化物については、上幌内モイ遺跡のような内陸の遺跡にも海洋リザーバー効果の影響が見られ、ほぼすべての試料について結果がかなり古く現れ、しかも傾向性もつかみにくいことが確認できた。これを受け18年度については確実な試料を増やすため、土器付着炭化物は扱わないことを方針とした。古地磁気との比較ではほぼ整合する結果がでているとのことであり、古地磁気法の確立にも放射性炭素年代との併用が有効であることが確認できた。なお、17年度の成果全体については、処理・分析に時間がかかったため18年度の最終報告に併せて報告する予定で整理・検討を進めている。
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Research Products
(2 results)