2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16310011
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
伴 修平 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (50238234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 啓一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80022250)
須戸 幹 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (50206570)
熊谷 道夫 琵琶湖, 環境科学研究センター, 統括研究員 (40234512)
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Keywords | 代かき水 / 琵琶湖 / セストンδ^<13>C / セストンのδ^<15>N / アンモニア / 植物プランクトン / 内部波 / 湖底堆積物 |
Research Abstract |
2006年3月中旬から6月下旬にかけて毎月、多景島沖合1定点(水深、およそ60m)にて10m間隔で、昨年同様にセストンのδ^<15>Nを測定した。セストンのδ^<15>Nは3月中旬にはどの深度でも15‰以上の高い値を示し、4月には40m以浅で若干低下するものの12‰以上であったのに対し、代かき・田植えが終わった直後の5月中旬には、表層20m以浅で6‰を下回る急激な減少が認められた。この低い値は、7月まで続き、8月には徐々に増加する傾向が認められた。 同様の季節変化は、セストンδ^<13>Cにも認められた。セストンδ^<13>Cは、3-4月には全層で-28‰以下の低い値であったが、5月中旬には表層10m以浅で増加し、6月には-23‰に達した。セストンδ^<13>Cは6月には20m以深でも高くなり、この傾向は8月まで続いた。 これらの結果は、前年の4月中旬から6月初旬にかけて行われた同様の調査結果とほとんど同じ傾向であった。そして、水田土壌乾燥試料より得たδ^<15>Nおよびδ^<13>Cはともに3‰および-26‰以下の低い値であった。また、水田からの排水が流入する宇曽川河川水中のセストンδ^<15>Nは、田植え直後に最も低くなった。 昨年までの調査結果と考え合わせると、以下のようなシナリオが描けそうである。代かき・田植えによって排出された多量の濁水(代かき水)は、琵琶湖に流入するといったん沿岸域に堆積する。これらには水田由来のアンモニアが吸着しており、湖底に堆積した後に溶出し、堆積物間隙水中に蓄積される。内部波などによって沿岸堆積物が撹乱されることによって、これら堆積物間隙水中の栄養塩が湖水中に供給され、沖帯まで運ばれる。運ばれた栄養塩を用いて、植物プランクトン生産が促進される。 この仮説をさらに補強するためには、堆積物間隙水中のアンモニア態窒素のδ^<15>Nと湖水中の硝酸態窒素のδ^<15>Nを測定する必要があるだろう。
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