2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320003
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 正良 金沢大学, 文学部, 教授 (20201543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 裕幸 南山大学, 人文学部, 教授 (40110754)
月本 洋 東京電機大学, 工学部, 教授 (30339064)
美濃 正 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70181964)
長滝 祥司 中京大学, 教養部, 教授 (40288436)
柏端 達也 千葉大学, 文学部, 助教授 (80263193)
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Keywords | 感情機能 / 現象的意識 / クオリア / コネクショニズム / 機能主義 / 計算論的に解決不可能 / スーパーヴィーニエンス / 心的因果 |
Research Abstract |
1.平成17年度に予定していた実施計画のうち、月本・長滝らを中心とした感情機能を実現するコネクショニスト・ネットワークの構築は、洗練された感情の基盤層にある情動の機能として<協調性>機能に注目し、それを、ニューラル・ネットワークの集団上でシミュレーションするという方向でほぼ完成することができた。このネットワーク集団は、多数の認知・行動エージェント(個々のネットワーク)が協調して危険な獲物を狩猟するという設定のもとに、多数のエージェントに協調的傾向性を学習させ、その<協調性>機能を、さらにエージェント集団に対する遺伝アルゴリズムの適用を通して進化論的に淘汰するという設計になっている。この集団が予測通りの<協調性>機能を発現するところまでは、すでに確認された。したがって次年度の課題は、このネットワーク集団の性質に関するより詳細な理論的検討と同時に、<協調性>機能が感情機能の原初形態でもあることを示すことであり、そのためには、このネットワーク集団が集団協調とは異なる認知課題に対してどのような感情機能を示しうるかをさらに実験的に検証することである。 2.平成17年度予定の理論的検討課題のうち「物理主義の概念的整理」は、機能的性質の存在論としてほぼ所期の目標通りに達成することができた。この課題は、柏端・美濃・柴田の3名による平成17年3月末の「機能的性質の形而上学/存在論」の研究報告の後、『思想』(岩波書店,平成17年2月号)における「心のありかと性質の存在論」という誌上特集として世間に広く開かれた形で果たされた。そこで、柴田および柏端はそれぞれの論文「機能的性質と心的因果」、「選言化する心と二元論的世界」において「機能的性質が存在論的に自立した独自の存在として科学の理論的対象たりうること」を明らかにした。次年度はそれに関して、主に美濃による批判的検討がなされる予定である。
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