2004 Fiscal Year Annual Research Report
制作・展示・受容-新たな芸術システムの構築に向けて
Project/Area Number |
16320021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田 喬夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30098230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 和郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (20149545)
市川 靖史 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60283694)
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50211446)
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60212081)
三木 順子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00283705)
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Keywords | 展示 / 制作 / 受容 / モダニズム / 建築 / 写真 |
Research Abstract |
制作・展示・受容という芸術の3つの領域の相互関係に注目し、新たな芸術システムの構築をめざすという本研究課題の基礎作業を着実に行った。この研究テーマの中核には、「近代美学」「純粋芸術」「美術館」といった概念・制度を生み出した西欧モダニズムのもつ、美的な、自律的な、視覚優位の産物としての作品概念がある。研究分担者全員は、それぞれの専門分野に立って、これとの対話と対決を行い、制作と受容を媒介する広義の「展示」の諸相と意義を解明しようとした。研究分担者は、その際、前モダニズムとポストモダニズム(メディア時代)の時代性および、日本と東洋の地域性にも十分考慮した。 1.建築家は、今日、建物が、どのような場所に建てられ、どの様な住み手に受容されるかを十分考慮して作品を設計する。また、写真家も、単一のタブローではなくむしろシリーズをインスタレーションの展示形式で自らの撮った作品を展示する。その具体例を岸と市川は示した。 2.事例研究として、スイス・バーゼル大学の美術試験吸湿とバーゼル美術館との関係をG.ベームらのヒアリングを含め実施調査し、アカデミックな美術史の授業の教材として美術館の展示作品が重要な役割を果たしたことを明らかにした(三木)。 3.ジェームズ・タレルの「光の館」をはじめとする越後妻有トリエンナーレのアートおよび金沢21世紀美術館の調査を行い、制作者と受容者の媒介としての展示の問題点をディスカッションした(三木、並木、中川)。 4.「展示の力」のあり方と問題点をモダニズムからポストモダニズムまで歴史的に、理論的に考察した(太田)。Staniszewski : The Power of Display(1998)をはじめとする先行研究の批判的考察を下に、特に写真とインスタレーションの展示デザインに注目して、「スペクタクル」とでもいうべきあり方の問題点を明らかにした。 5.その他、アルスエレクトロニカのメディアアートの「芸術システム」や「限界芸術(工芸)」のシステム、MoMA(ニューヨーク近代美術館)についても資料収集に努めた。 以上から、西欧モダニズムでの芸術作品概念とは、かなり違った多様な展示の姿を示す
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