2006 Fiscal Year Annual Research Report
制作・展示・受容-新たな芸術システムの構築に向けて
Project/Area Number |
16320021
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三木 順子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (00283705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
岸 和郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20149545)
中川 進 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50211446)
中野 仁人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (10243122)
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Keywords | 芸術 / 文化と歴史 / 展示 / 制作と受容 |
Research Abstract |
今年度は、おもに4つの方向で、代表者および分担者がそれぞれに下記のとおりのとおり研究を行った。 1.展示は、芸術と社会を媒介し、また人間と歴史的文化を媒介する力を持つ。今日では、ミュゼオロジーの一環として、特徴ある展示の事例に基づきながら、ディスプレイやインスタレーションの方法論がさまざまに検討されつつある。同時に、展示されるべき文化財の保存が、専門的な技術を要することがらとして注目されつつある。だが、そもそもなぜ、展示という営みが必要なのか、また、展示という営みをとおして人間が共有すべき文化とはいったい何なのかは、実は自明ではない。本研究では、このことを、展示という営みが抱えるこの根本問題としてあぶり出すとともに、この根本問題について、大衆と文化的エリート、物質と記憶、保存と破壊、場所性と時間性といった観点から、美学的・芸術学的に考察を加えた。(三木)。 2.美術館、展覧会に関わる、内外のアクチュアルな事例に注目し、2006年に開館した青森県立美術館や、スペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館、ロンドンのテイト・モダン、および歴史的な大改装を遂げた台湾の故宮博物館で調査にあたった。(石田・中川・並木)。 3.制作者-とくに建築、デザイン、メディア・アートを中心とした一視点から、今日の展示と受容の可能性と問題点を明らかにした。(建築家として岸、グラフィック・デザイナーとして中野、写真映像家として市川)。 4.研究代表者および各研究分担者は、それぞれの研究の成果を執筆し、これを研究代表者が総括して、研究報告書を5月に刊行する。なお、本研究の成果をふまえたうえで、さらに広い分野の研究者や芸術家による論考を編纂するかたちで、書籍『芸術展示の現象学』(仮題)の出版を7月に予定している。
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