2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320029
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤井 淑禎 立教大学, 文学部, 教授 (30132252)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 巧 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (60253176)
石崎 等 立教大学, 文学部, 教授 (80141167)
成田 康昭 立教大学, 社会学部, 教授 (80198390)
原 克 早稲田大学, 教育学部, 教授 (40156477)
前田 一男 立教大学, 文学部, 教授 (30192743)
|
Keywords | 大衆文化 / サブカルチャー / 都市 / 通俗文学 / ミステリー / 大東京 / 震災復興 / モダニズム |
Research Abstract |
研究代表者である藤井淑禎が編集し、本研究の分担者たちが中心となって執筆した『国文学解釈と鑑賞』別冊「江戸川乱歩と大衆の20世紀」が予定通り04年7月に刊行され、好評を博した。同じく藤井を中心として企画された立教大学主催の同タイトルの展覧会(池袋東武デパート、8/19〜24)も大変な盛況だった。展覧会には、乱歩の遺族より寄贈ないしは寄託された乱歩旧蔵図書や資料、ノート、原稿などが現段階での整理を経て展示された。初公開のものも少なくなく、本研究の研究支援者や研究補助者の協力のもとに進められてきた資料整理が早くも実を結んだ格好である。ただ、図書や資料、ノート、原稿などの整理は今後もまだまだ長期にわたる作業となる。ところで、特集号や展覧会の成功の理由を考えると、やはり「大衆の20世紀」という視角を提示しえたことが大きかったのではないかと思われる。従来の乱歩研究が、とかく乱歩や乱歩文学の特殊性にばかり注目してきたのに対して、本研究を母胎とするそれらの企画では、大衆の20世紀を一人の生活者・家庭人として生きた乱歩の足跡に注目し、そこから、大衆文化研究という広々とした地平へと踏み出しているからである。また、10/31にはやはり本研究の分担者たちが中心となって乱歩と大衆文化をテーマとする国際シンポジウムも立教大学で開催された。そこで特に注目されたのは、昭和初期の上海でも乱歩が受容されたという報告であり、この事実は、当時の大衆文化の考察は、韓国・台湾など東アジア全体にまで範囲を広げなくてはならないことを示唆している。この課題への取り組みは本年度の後半より着手され、次年度以降もしばらくその可能性を模索することになる見通しである。
|
Research Products
(6 results)