2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斎藤 泰弘 京都大学, 文学研究科, 教授 (70115848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 恵 京都大学, 文学研究科, 助教授 (90175927)
長神 悟 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (00126137)
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Keywords | イタリア / 国民国家 / リソルジメント / 言語 / 演劇 / 文学 / トンマゼーオ / マンゾーニ |
Research Abstract |
研究代表者の斎藤は、過渡期の文学者たちの倫理意識を捉えなおすことを目的として、まずアルフィエーリの悲劇の基本構造に関する研究を行なった。これまでのアルフィエーリ研究は彼の問題意識を自伝的要素との関わりにおいて追及したものが多いが、そうした個人的要因の背後には18世紀末のヨーロッパに特有の不安定な政治的・文化的状況が存在している。アルフィエーリ作品とこうした状況との関連は、各作品の構想段階においてより明白に観察されることから、言語表現の彫琢にはあえて注意を向けることなく、韻文化以前の状態に的を絞ったうえで主要作品の持つ基本的な構造を分析した。 研究分担者の長神は、イタリアにおける、いわゆる「言語問題」に関わるテーマとして、辞書編纂にみられる規範意識について考察を行った。平成16年度はとくにN.トンマゼーオの大部のイタリア語辞典Dizionario della lingua italiana(1861-79)をとりあげ、見出し語の選定、語釈の内容およびその配列、用例の選択にみられる編纂者の言語意識について調査を行った。その際、次年度以降に詳しい分析を予定している、マンゾーニの国語観を反映させたGiorgini-Broglioのイタリア語辞典Novo vocabolario della lingua italiana(1870-1897)との比較を念頭に置いて調査を行った。 また、いまひとりの研究分担者である天野は、マンゾーニが1821年、悲劇『アデルキ』の創作を中断して書き始めた歴史小説Fermo e Luciaが一応の完成を見た後、やがて1827年に『いいなづけ』I promessi sposi(いわゆるVentisettana)として出版されるまでの間に大幅な改変をこうむった「モンザの尼僧」エピソードに関して、この改変と彼の歴史小説論との関連をさぐるべく、1828年頃にさかのぼると推定される論考Del romanzo storico e, in genere, de icomponimenti misti de storia e d'invenzioneの分析を進めた。
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Research Products
(3 results)