2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仙葉 豊 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (90144534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (40261250)
山田 雄三 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (10273715)
小杉 世 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (40324834)
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Keywords | 文学と医学 / メランコリー / 神経衰弱 / 夏目漱石 / イヌイト / 民族医療 / 処刑と解剖 / マオリ文化 |
Research Abstract |
本年度では、アメリカ19世紀の精神医学と明治期精神医学の交渉を分析し、神経衰弱の広範な広がりの様相を明らかにした。イギリスの場合は、ルネサンス期の劇場における病と身体の表象関係を研究し、カナダの場合はイヌイトへの西欧近代医学の流入と福祉政策との関連を調査し、また、ニュージーランドにおいては、少数民族の言語と精神医療の問題を考究した。いずれも、文学と医学の文化的な交渉における多様な知見を得ることができた。 (1)文学と医学の接点としてのメランコリーと神経衰弱(仙葉 豊) 本年度は、19世紀ヨーロッパを席巻することになる神経衰弱の流行の源流を辿って、イギリス18世紀の心身症とも言うべきメランコリーの病を調査した。また、夏目漱石を中心とする明治期の神経衰弱の流行をメランコリーとの関連から考えてみた。 (2)イヌイトの民族医療(大村敬一) 本年はカナダ・ヌナヴト準州のクガールク村において、カナダ・イヌイトの民族医療に関する基礎的な調査を行い、身体にかかわるイヌイト語の語彙の収集をはじめ、イヌイトの民族医療の基盤となる情報を収集し、来年度以降の研究課題であるイヌイト社会の近代化と民族医療のテーマの基盤を整えた。 (3)ルネサンス的身体観の代弁・表象の問題(山田雄三) 16-17世紀ロンドンにおける劇場と身体のありかたを、当時の医学的な解剖や疾病に対する観点から考察を加える。病んだ身体と処刑された罪人の身体解剖などが、どのように劇的な世界に投影されていたかを、演劇テキストと医学解剖図などを交錯させながら考えたい。 (4)ニュージーランド少数民族と精神文化(小杉世) ニュージーランドにおける少数民族であるマオリの共同体のなかで、言語教育と民族アイデンティティのありかたを研究する。英語とマオリ語の2言語併用の状態における、民族的なアイデンティティをさまざまな文化テキストを導入しながら考察する。
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Research Products
(10 results)