2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲葉 馨 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (10125502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 長人 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (80333772)
山元 一 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (10222382)
牧原 出 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (00238891)
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Keywords | 災害対策基本法 / 復興計画 / 被災者生活再建支援 / 被災住宅再建 |
Research Abstract |
本研究においては、研究初年度に、平成15年7月に発生した宮城県北部地震によって住宅が被災した者に対して、その住宅再建の実態、公的支援の実態、再建過程において直面した問題等についての聞き取りによる実態調査を実施し(回答者220世帯)、その結果を公表した。次いで、第二年度においては、平成16年10月に発生した新潟県中越地震の住宅全壊被災者を対象に、同様のアンケート調査を実施し(回答者241世帯)、公表した。これらの実態調査と併行して、中央省庁及び被災地の災害対策担当者に対するヒアリング等により我が国の災害対策法制度の運用実態の把握を行ったが、これらの調査結果と調査作業を通じて、次のような点が明らかになった。すなわち、我が国の災害対策法制は、災害が生じた後の復旧・復興の側面において著しく不十分なものとなっていること、特に、住居が被災した被災者が元の居住状況を再確保しようとする場合には、大きな壁が存在することである。しかし、住宅が個人財産であるため、その再建に対する公的支援には様々な限界があり、支援の公共性をどの点に見出すかが最大の問題となっている。公的支援を実現するためには、その公益性の担保の視点から、災害対策法制における災害復興計画の制度化が必要であり、そのための具体的な法制度を提案した。また、災害対策法制度全体の理論的検討の結果として、災害の復旧・復興に膨大な公的資金が投入されているにもかかわらず、被災地、被災者には、政府の実施する対策に大きな不満が存在する背景に、現行法制上、個人の責任とされる分野の規定が、他の規定に比較して著しく見劣りがする状態になっていることを指摘し、災害対策法制度における個人被災者の位置づけを再検討する必要があること、地域の意向を反映した復興策が実現できる法制度とすべきことを提案している。
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Research Products
(1 results)