2006 Fiscal Year Annual Research Report
エスニック・マイノリティの社会参画と国民国家の社会統合に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
16330098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘭 信三 京都大学, 国際交流センター, 助教授 (30159503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和良 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20275431)
山本 かほり 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (30295571)
城 達也 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (70271608)
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
松浦 雄介 熊本大学, 文学部, 助教授 (10363516)
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Keywords | エスニック・マイノリティ / 社会参加 / 国民国家 / 社会統合 / 中国帰国者 / 帰還移民 / エスニック移民 / 脱植民地主義 |
Research Abstract |
エスニック・マイノリティの社会参加と国民国家の社会統合は、多くの国民国家にとって重要な課題となっている。というのは、グローバル化が進行している現在において、外国籍の人びとの増加によってこの課題は深刻な課題となっているからである。しかしながら、この問題は第2次世界大戦前後においてすでに胚胎されていた。なぜなら、戦前の植民地の存在は、宗主国における植民地出身と植民地における宗主国の人びとの存在をもたらしていた。第2次世界大戦終了後、敗戦によって植民地を失った国(日本やドイツ)と、植民地解放戦争によって失った国があるが、どちらにしても多くの国々はエスニック・マイノリティの問題が存在してきたのである。しかしながら、東西冷戦体制が厳しい折は、エスニック・マイノリティの問題は抑圧されてきたが、冷戦体制の崩壊によって、この問題は噴出してきたわけである。 このような歴史的な分析を踏まえて、本年度は最後の年として、日本におけるエスニック・マイノリティの代表である中国帰国者と在日朝鮮人を事例とし、また、フランスにおけるアルジェリアからの引き揚げ者であるピエノワール、ドイツにおける東欧・旧ソ連圏からのエスニック移民、韓国における在韓日本人妻を、それぞれ事例として、植民地との関連を持つエスニック・マイノリティの社会参加に関して集中的に論じた。その結果、エスニック・マイノリティの社会参画の促進と抑圧が、国民国家の社会統合と表裏の関係であることが明らかとなった。各国の事例をより詳細に調べることが課題となった。
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Research Products
(4 results)