2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の認知・学習及び行動特性の解析と支援方法の開発
Project/Area Number |
16330185
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
室橋 春光 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00182147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康雄 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20171803)
田村 守 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (80089888)
諸富 隆 作新学院大学, 人間文化学部, 教授 (60003951)
片山 順一 北海道大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (80211845)
河西 哲子 北海道大学, 大学院教育学研究科, 助手 (50241427)
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Keywords | 軽度発達障害 / 高次脳機能障害 / 自閉症 / ADHD / 文章理解 / 局所・大局情報処理 / 漢字書字 / 展望的記憶 |
Research Abstract |
1.自閉症の統合機構を考察する上で基礎過程となるグローバル・ローカル処理機構について、刺激類似性と刺激呈示時間(30ms,500ms)を操作して検討した。その結果、刺激呈示時間はどちらの処理に対しても影響を及ぼさず、刺激類似性はローカル処理機構に関与すると考えられた。 2.自閉症を有する人においては、局所(Local)情報と大局(Global)情報を適切に処理することが難しいと想定されている。聴覚知覚・認知における情報処理の基礎過程を検討するため、大学生を対象として音系列処理過程を検討した。その結果、音系列判断の大局的傾向と自閉症スペクトラム傾向(AQ)との相関が認められた。 3.ADHDと類似の症状を示す高次脳機能障害のある中学生について、展望的記憶課題を呈示視記憶特性を分析した。その結果、対象児は意図的に記憶を想起できるが、心的時間と実時間の調整を行わないため、意図を実行するプランを有効に働かせることが困難になるものと想定された。 4.発達障害を有する児童における文章表現機能の不全を検討するため、絵図などを提示し理解内容の表現を求めて検討した。その際、直後回答条件と遅延回答条件を設定したところ、ADHD群では、遅延により成績が向上したが、PDD群、LD群では有意差は認められなかった。このことから、ADHDにおいては回答の遅延により内言による抑制が可能になったものと考えられた。 5.漢字書字障害のある中学生を対象として、認知特性の分析と特性に応じた書字指導法の開発を試みた。言語性処理機能はより良好だが、書字統制機能には問題が認められた。この特性に応じた書字指導として口唱法を採用し、事例にあった方法を開発した。その結果、指導開始当初40%程度であった正答率が指導後には70-80%になった。
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Research Products
(7 results)