2007 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の学校不適応軽減を目的とした5歳児健診の有用性に関する実践的研究
Project/Area Number |
16330188
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小枝 達也 Tottori University, 地域学部, 教授 (70225390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺川 志奈子 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (30249297)
小林 勝年 鳥取大学, 生涯教育総合センター, 准教授 (30326623)
塩野谷 斉 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (30310866)
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Keywords | 5歳児健診 / 軽度発達障害 / 特別支援教育 / 発達障害者支援法 / 学校不適応 / 事後相談 |
Research Abstract |
軽度発達障害に対する気づきの場として5歳児健診あるいは5歳児発達相談が有用であるが、保護者の気づきを深めるためには、(1)子育て相談、(2)心理発達相談、(3)教育相談という3つの事後相談体制が必要であると考え、鳥取県の東部・中部・西部において3つの事後相談体制を組織し、市町村からの要請に応じて事後相談を担当するという形式の実践研究を行った。今年度は4年間のまとめとして事後相談件数と内容の検討を行った。 子育て相談は、34事例、延べ相談件数39件であった。子育て環境に関するものが28件、しつけに関するものが23件、子どもの発達に関するものが11件、その他が9件であった。相談内容が多義に渡ること、家族背景が複雑で子どもの問題に集約できない事例が多いこと、継続相談が不可欠であることなどが明らかとなり、「発達支援保育士」ともいうべき特殊技能を持った保育士が求められることを提案した。 心理発達相談は、43事例、延べ相談件数56件であった。3歳児健診で発達上に問題が指摘された事例と5歳児健診で初めて問題が指摘された事例では背景に明らかな差異が認められた。また、心理発達相談では継続性が重要であること、就学準備性を高めるには5歳児健診と事後相談を幼稚園・保育所の年中児の時期に実施すると良いことなどが明らかとなった。 教育相談は7件で経年的に相談件数が減少した。鳥取県の巡回相談員が幼児の相談にも対応するようになり、また市町村が独自に5歳児健診と教育委員会との連携を強めたことが要因と考えられた。 本研究では事後相談の重要性を実践的に周知してきた。平成19年度初めの調査では、4つの市町村が本研究をモデルとした事後相談体制を組織し、部分的ながらも実践するようになっていた。こうした自治体の行政施策を先導する役割を本研究は果たしたと思われる。
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