2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340080
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Research Institution | KONAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宇都宮 弘章 甲南大学, 理工学部, 教授 (00241167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 助教授 (60319829)
豊川 弘之 産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (80357582)
原野 英樹 産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (60302775)
松本 哲郎 産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (70415793)
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Keywords | 実験核物理 / 直線偏光γ線源 / 重陽子光核分解 / 光核反応 / 核合成 |
Research Abstract |
平成18年度は中性子検出器を完成さ直線偏光した逆コンプトンγ線を用い実験を行った。この中性子検出器は光核反応におけるE1、M1吸収過程を分離するため、方位各方向に上、下、左、右の4つの検出器からなり、それぞれの検出器はさまざまな中性子のエネルギーに対して平坦な応答特性をもつよう形状のパラメーターをシミュレーションに基づいて注意深く調整した減速材と3He比例計数管から構成される。シミュレーションの結果によれば、純粋なM1光吸収過程からの中性子を測定したときに0となり純粋なE1光吸収過程からの中性子を測定した場合に1となる非対称係数に対する分解能が、閾値近傍から数MeVの広い範囲で安定して0.82程度と良い分離が得られることがわかった。また中性子に対する計数効率も数keVから十数MeVの広いエネルギー範囲にわたって、4つの検出器全体で37%と高い検出効率を実現した。 産業技術総合研究所の電子蓄積リング"テラス"の蓄積された電子ビームと直線偏光した半導体レーザー光をコンプトン散乱させて得られる準単色直線偏光γ線(逆コンプトンγ線)を重陽子標的に照射し重陽子の光核分解反応を測定した。γ線のエネルギーは、閾値から300keVでM1過程が支配的な2.5MeVと、E1過程が支配的で断面積の大きい3MeVの2点のエネルギーで測定した。まだ解析の途上であり系統誤差を十分追い込んだ最終結果は詳細なシミュレーションの結果を待たねばならないが、これまでの実験で得られたE1とM1の分岐比と矛盾の無い値を得た。γ線のエネルギーが2.5MeVでは重水素の光核分解反応の断面積は1mb程度と光核反応としては小さいが、そのような小さな断面積の反応であっても十分よい精度でE1、M1断面積の比を決めることができる。このことは、本研究で目的とした重水素に限らず、他のさまざまなターゲットに対して本研究で確立した手法が適用できることを意味しており、今後の研究の発展につながると期待できる。
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Research Products
(7 results)