2005 Fiscal Year Annual Research Report
核共鳴X線散乱の時間スペクトル解析による表面拡散の原子ダイナミクス計測法の開発
Project/Area Number |
16360018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 達雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60011219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 隆明 山梨大学, 工学部, 教授 (20111776)
福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10228900)
松本 益明 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40251459)
WILDE Markus 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10301136)
張 小威 高エネルギー加速器研究機構, 助手 (80217257)
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Keywords | 表面拡散 / 放射光 / 核共鳴散乱 / 内部転換電子 / 固体表面 |
Research Abstract |
核共鳴X線散乱・内部転換電子分光法を表面単原子層の測定に適用するために必要な清浄表面構造解析,アバランシェフォトダイオード(APD)検出器の高精度化,モンテカルロシミュレーションによる原子拡散過程の異方性の解析,鉄シリサイド単原子層形成過程などについて研究を進めた。 1.PtおよびIr単結晶表面における原子拡散過程のモンテカルロシミュレーションを行い,エッジに沿う原子拡散の異方性によって,単結晶表面に形成されるフラクタル構造の特徴を明快に説明できることが判った。この成果により,本研究の目的である核共鳴X線散乱の時間相関法による表面拡散過程を測定する対象として考えていたステップエッジに沿う拡散過程において,エッジ方位による表面拡散係数の相違が存在することが裏付けられた。 2.アバランシェフォトダイオード(APD)検出器に要求される高い量子効率を保持する上で,電子検出に伴う出力特性の劣化が大きな問題であった。本年度,共鳴核反応法によるAPD素子の水素濃度の深さ分析を行い,劣化に伴う水素濃度の変化を確認した。 3.鉄シリサイド極薄膜の構造と磁気構造に関する研究を,低速電子線回折と内部転換電子メスバウアー分光法によって行った。表面層の力学的歪に起因する磁気構造の変化を測定するために,メスバウアー分光法試料に曲げ歪を導入し,超微細構造の変化を測定した。 4.放射光施設のビームラインにおいて,表面局所構造を観測した上で,核共鳴X線散乱を測定することができる超高真空実験装置の開発を進めた。オミクロン社製走査トンネル顕微鏡装置とこれまでに試作した57Fe蒸着源,電子線回折装置,試料駆動機構などを組み合わせ,ビームラインに設置しうるコンパクトな実験装置の完成を目指している。
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Research Products
(1 results)