Research Abstract |
チタン合金は耐食性に優れるため,近年,生体材料としてもっとも一般的に使用されている.しかしながら生体内で長期間使用された場合には,腐食により金属イオンが溶出することが報告されており,生体適合性という観点から解決すべき課題ものこされている.本研究では電解を利用して砥石のドレッシングをインプロセスで行うことのできる研削技術(ELID研削)をさらに拡張して,生体適合性に優れる表面の創製を試みた.以下に本年度得られた成果を要約する. 1.被処理材の表面改質特性に及ぼす電圧印加の影響に関して研究を行った.具体的には,ワーク表面における化学反応を積極的におこさせるために,外部から電位を印加し,その影響を調べた.処理表面に関しては,EDXおよびXPSによる分析を行い,酸化皮膜の厚さや性状について検討を加えた.さらに,TEMによる表面観察を行い,皮膜の厚さを定量的に評価した.その結果,開発したシステムにより,電圧を印加することにより,通常では15nm程度の厚さの酸化皮膜を約10倍にすることができた.また,このような厚い酸化皮膜の効果により,耐食性や耐摩耗特性が著しく向上すうことがあきらかとなった. 2.微粒子ピーニングを利用した表面改質プロセスの構築に関する研究を,チタン合金を対象として実施した.とくに高温下において,処理を施すことにより,ショット材の粒子の拡散が助長され,表面改質効果を発現することが明らかとなった.また,生体適合性に関しても,細胞毒性という観点から評価し,同処理により向上することを示した.
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