2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市排水系での難分解、極性有機物質(P3)の汚染実態と制御方法に関する研究
Project/Area Number |
16360263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 宏明 京都大学, 工学系研究科, 教授 (70344017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 滋穂 京都大学, 工学系研究科, 教授 (10135535)
越川 博元 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (70273480)
高田 秀重 東京農工大, 農学部, 助教授 (70187970)
鈴木 穣 (独)土木研究所, 上席研究員 (20231376)
山下 尚之 京都大学, 工学系研究科, 講師 (90391614)
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Keywords | 抗生物質 / 下水処理 / 水環境 / 活性汚泥 / 高度処理 / 収着 / 藻類成長阻害 / 凝集剤 |
Research Abstract |
新たな汚染物質として、生活で広く使われている医薬品や化粧品などの日常用品(Pharmaceutical & Personal Care Product, PPCP)が潜在的な環境問題となり始めている。これらの多くは、難分解で、やや極性があるPersistent Polar Pollutant (P3)で、排水処理では取りにくいことが予想される。PPCPが水環境へ流出する状況を把握するため、広範囲な生活排水などを収集する下水道をターゲットに汚染実態と下水道での削減状況を捉えるとともに、バイオアッセイによる毒性データから初期リスク評価を行った。また回分実験によって活性汚泥での分解除去性を検討した。 SPE-LC/MS/MS法を用いて47のPPCPを分析した。9箇所の処理場での24時間調査及び1箇所の処理場での定期調査を行った。流入水中から34成分の医薬品類が検出され、検出濃度のオーダーは10ng/L〜10μg/Lのオーダーであった。カフェイン(10μg/L)、アセトアミノフェン(8.4μg/L)、ベザフィブラート(2.7μg/L)、テオフィリン(2.0μg/L)、クラリスロマイシン(1.4μg/L)、スルビリド(1.1μg/L)などが流入水から高濃度で検出された。生物処理による除去率は-30〜100%であり、物質によって除去率が大きく異なった。オゾン処理により二次処理水中に残留した医薬品の約80%が除去されたが、ジソピラミドやケトプロフェンはオゾン処理によっても約60%程度しか除去されず、オゾン処理後も100ng/L以上の濃度で残留していた。 また、生物処理によるリスク削減効果としては二次処理により流入水中で1以上あったハザード比が1以下に削減された。さらにオゾン処理によって0.1以下まで削減された。 活性汚泥り、k=2.365であった。また通常の活性汚泥と不活化処理した活性汚泥による除去速度定数との差を見かけ上の生分解速度定数と定義し、生分解性を評価した。特に抗菌剤以外の医薬品は活性汚泥による除去に生分解が寄与していることが示唆された。また、抗菌剤以外の医薬品は実際の処理場での除去率と見かけ上の生分解速度定数に正の相関がみられた。
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Research Products
(14 results)