2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ca^<2+>ポンプのエネルギー転換機構ならびに遺伝子異常による細胞病態の分子基盤
Project/Area Number |
16370066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50183421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90207267)
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60241428)
加藤 早苗 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80291061)
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Keywords | 筋小胞体 / カルシウムポンプ / SEARCA / Ca^<2+>輸送 / リン酸化中間体 / 疎水性相互作用 / ダリエー病 / Caホメオスタシス |
Research Abstract |
1)Ca^<2+>ポンプのリン酸化中間体の安定な構造アナログの開発による結晶構造解明への貢献 リン酸化中間体(E2P)の加水分解の基底状態、遷移状態、および酵素・Pi生成物複合体のそれぞれのアナログとして、酵素・BeF_x複合体、酵素・AlF_x複合体、および酵素・MgF_x複合体を開発した。そしてこれら三種について、触媒部位とCa^<2+>放出ゲートの構造特性を解析した結果、E2P基底状態から加水分解遷移状態へ移行する際に生起する触媒部位のわずかな構造変化に共役して、Ca^<2+>放出ゲートが、Ca^<2+>放出直後の開いた状態から閉じた状態に変化し、内腔からのCa^<2+>漏れ出しを防ぐ構造を獲得すること示した。この成果により、Ca^<2+>輸送のエネルギー共役の本質を理解するには、これら三種の酵素複合体の原子レベルの結晶構造解明が必須であることを示した。 2)ドメイン間相互作用解明によるポンプ作動機構の理解 Ca^<2+>ポンプの細胞質Actuator(A)およびPhosphorylation(P)ドメイン間の相互作用の形成がリン酸化中間体の構造異性化ならびに内腔へのCa^<2+>放出に必須であること、そしてA-Pドメイン間相互作用にはAドメインのTyr122を中心としたAおよびPドメインの疎水性残基による疎水結合の形成が必須であることを示唆した。 3)遺伝子異常による病態発症の分子基盤 ダリエー病でこれまで報告されたミスセンス変異それぞれについて解析し、ポンプ蛋白の発現と機能異常の性質が変異に依存して顕著に異なること、さらに機能異常の違いは、異なる内容の細胞Ca^<2+>動態異常を引き起こすであろうことを見出した。そして、ある特定の変異体によって設定される小胞体内腔の異常な高Ca^<2+>レベルと精神障害・行動異常の関連をはじめて明らかにした。
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Research Products
(9 results)