2004 Fiscal Year Annual Research Report
猫の肥満および糖尿病の発症メカニズムの解析とその臨床応用
Project/Area Number |
16380214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
新井 敏郎 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (70184257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲巣 月美 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (20191736)
盆子原 誠 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助手 (50343611)
田中 良和 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助手 (50291159)
木村 信煕 日本獣医畜産大学, 応用生命科学部, 教授 (00350174)
小野 憲一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
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Keywords | 猫 / 肥満 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 / 解糖系酵素 / 糖新生系酵素 / 脂肪酸合成酵素 / リンゴ酸デヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
犬と猫の肝および白血球中のエネルギー代謝に関連する酵素活性の測定を行なった。その結果、解糖系酵素やリンゴ酸アスパラギン酸シャトル系のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)活性は、白血球と肝で、よく相関することが明らかとなり、白血球のこれらの酵素活性は、体全体のエネルギー代謝の良い診断マーカーとなりうることが示唆された。これらの酵素活性を犬と猫で比較すると、猫の肝では、解糖系の律速酵素のひとつであるグルコキナーゼ活性とそのmRNAの発現が欠損していた。いっぽう、猫の肝では、糖新生系酵素や脂肪合成酵素の活性が犬に比べて、有意に高かった。猫は、犬に比べ肝におけるグルコースの利用能が低く、いっぽうでアミノ酸などからの糖新生能が高く、脂肪合成能も高いという特性を持つ動物であることが明らかとなった。これらの結果から、猫は犬に比べ肥満しやすく、高血糖を来たしやすい動物であり、こうした組織における猫特有のエネルギー代謝特性が、猫でよく見られるインスリン抵抗性の一因であると考えられた。 また、インスリン分泌低下による1型糖尿病の犬、猫の白血球で、MDH活性が著しく低下し、インスリン投与によりその活性が回復することが明らかとなった。それに伴い、MDHのmRNA発現量もインスリン投与で増加した。このことから、白血球のMDHが、犬や猫の糖尿病の病態を把握するのに良い診断マーカーであることが明らかとなった。 白血球におけるMDHや解糖系酵素の活性やそのmRNAの発現量は、犬や猫の肥満や糖尿病の病態をよく反映することから、これらを肥満や糖尿病の有力な遺伝子診断マーカーとして臨床応用することも可能である。
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Research Products
(5 results)