2005 Fiscal Year Annual Research Report
新依存性薬物の一斉スクリーニング法の開発と法医鑑定への応用
Project/Area Number |
16390194
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
工藤 恵子 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10186405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 典昭 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60176097)
辻 彰子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10171993)
井上 裕匡 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50363338)
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Keywords | 薬物乱用 / スクリーニング / GC / MS / 依存性薬物 / MDMA / モルヒネ / 覚せい剤 |
Research Abstract |
前年度に開発した尿からの30種の依存性薬物の一斉スクリーニング法について、さらに回収率、再現性、保持時間の安定性などを詳細に検討し、信頼性が高く実務に応用可能な一斉スクリーニング法を確立した。この成果は韓国ソウルで開催された第43回国際法中毒学会で発表した。 次にこの方法を元に分析用標準物質を所持しなくても、薬物の存在の有無とおおよその濃度の判定が可能なスクリーニングソフトウエアの開発に着手した。まず農薬の一斉スクリーニングと相対定量用に開発された、GC/MSケミステーション機能拡張ソフトウエアであるNAGINATAに30種の薬物の(1)保持時間と(2)質量スペクトル(3)特徴的イオンおよび(4)イオン強度を入力し、さらに0.05-5μg/mlの範囲の検量線を登録してデータベースを作成した。このデータベースを用いることで鑑定試料中の薬物の存在とおおよその濃度が判定でき、実務上有用であることを確認した。 次に血液中の覚せい剤および類似化合物の定量法について検討した。種々の抽出法を検討した結果、アセトンによる除タンパク後アセトンを留去、Focusカラムで精製、アセチル化ののちGC/MSで分析することでメタンフェタミンやMDMA、エフェドリンを含む13種の依存性薬物を高感度で精度よく定量可能な方法を確立した。本法を用いて覚せい剤の摂取が疑われる事例の鑑定を行った。 さらに、代表的な依存性薬物であるモルヒネの固体組織からの定量方法について検討した。0.2gの体組織を弱酸性溶液中でホモジナイズ後遠沈、上清をエキストレルートカラムに付し、TMS誘導体化を行ってGC/MSで分析することで、0.005-5μg/gの範囲で精度よく定量可能な方法を確立した。本分析法をモルヒネの誤投与が疑われる医療事故の鑑定例に応用し、肝臓と腎臓中のモルヒネの確認・定量に成功、死因の判定に寄与した。
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Research Products
(2 results)