2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌定着に伴う情動行動の変化とその脳内機序に関する研究
Project/Area Number |
16390200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 千春 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80117100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 信行 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60304812)
古賀 泰裕 東海大学, 医学部, 教授 (60170221)
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Keywords | ストレス / 腸内細菌 / 無菌マウス / 神経内分泌 |
Research Abstract |
腸内細菌の宿主への定着は様々な生理機能に関与している。本研究では、腸内細菌定着が、成長後の情動行動に如何なる影響を及ぼすかについて包括的に検討している。本年度は、腸内細菌定着に伴うストレスに対する視床下部-下垂体-副腎軸(HPA axis)の反応性へどのように関与しているかについて無菌(germ free:GF)マウスおよび様々な単一細菌で構成された人工菌叢マウスを用いて検討している。平成16年度の研究成果を以下にまとめる。 1.人工菌叢マウスを用いて、拘束ストレスに対するHPA axisの反応性をGF,SPFマウスと比較、検討した。なお実験には単一細菌の状態で3代維持したものを用いた。その結果、病原性大腸菌単一細菌マウス(EPEC)のストレス感受性は、GFマウスよりも亢進していたが、EPECの変異株(Tir遺伝子を欠損)のみで再構成された単一細菌マウスではHPA axisの反応性の変化は認めなかった。これらの結果は、細菌の違いによりストレス反応が変化しうることを示唆するものである。 2.GFマウスにBifidobacterium infantisを定着させると、一過性の血中IL-6上昇を認めた。あらかじめ抗IL-6抗体を投与し、IL-6の活性を中和しても視床下部でのc-fos mRNAの発現増強を認めた。この結果よりBifidobacterium定着による腸内環境の変化は、主として神経系を介する経路により中枢神経へ伝達されると考えられた。
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Research Products
(4 results)