2005 Fiscal Year Annual Research Report
IgA受容体分子からみたIgA腎症発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
16390242
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (20272817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂爪 実 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (70334662)
近藤 大介 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30401748)
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Keywords | IgA腎症 / ゲノム医学 / IgA受容体 / メサンギウム増殖性腎炎 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトIgA腎症の発症メカニズムをIgA分子の受容体および処理機構の観点から解析し、その役割を明らかにすることを目的として開始された。現在まで、IgA受容体分子の内、多価免疫グロブリン受容体(pIgR ; polymeric immunoglobulin receptor),IgA Fc部分に対する受容体(FcαR),アシアロ糖蛋白受容体(ASGPR ; asyalo-glycoprotein receptor)IgA1について解析し報告してきたが、本年度は、新たに同定されたトランスフェリン受容体(TfR ; Transferrin receptor)について解析し、論文作成中である。 一方、IgA 1分子のヒンジ部の糖鎖不全が、IgA受容体への親和性獲得や病的な免疫複合体形成に重要であり、IgA腎症の病態に深く関わっていることが報告され、それを裏付ける動物モデルも発表されている。しかし、臨床例で多数の検体を解析することや、治療に対する反応などを経過を追って観察することは、現在の複雑な工程が必要な糖鎖解析方法では、現実に不可能であった。そこで、私共は、簡便・迅速なIgA糖鎖不全の測定方法を開発し、臨床応用に向けて検討を重ねている。 また動物モデルで、半月体形成性糸球体腎炎に対するBezafibrateの治療効果を報告した。IgA腎症のうち、半月体形成を伴う急性所見を呈する症例では、腎機能が急速に低下する症例があり、これらの症例に対して、従来の副腎皮質ステロイド薬等に加えて、Bezafibrate系薬剤が効く可能性がある。臨床試験を開始する予定である。 ヒトIgA腎症の腎臓局所に高発現する遺伝子として同定された新規の粘膜蛋白、MUC20の粘膜リピート部位の繰り返し構造と、IgA腎症の腎機能予後に、関連があることを報告した。 以上の他、免疫グロブリンのクラススイッチに関わる免疫グロブリンμ結合タンパク2の一塩基多型とIgA腎症発症の関連、TGF-β遺伝子多型とIgA腎症の重症度の関連、レニン-アンジオテンシン系(RAS)遺伝子多型とRAS阻害薬の治療効果の関連などについて、論文を発表した。
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Research Products
(7 results)