2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ラジカルおよび小胞体ストレスによる膵β細胞障害機構の解析と治療への応用
Project/Area Number |
16390266
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 栄一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10253733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 哲至 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60295128)
松本 和也 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (80346999)
|
Keywords | ミトコンドリアROS / ERストレス / 膵β細胞 / Mn-SOD / Bip |
Research Abstract |
膵β細胞の機能異常は、2型糖尿病の発症に深く関与している。本研究は、膵β細胞の機能異常の発現にミトコンドリア由来の活性酸素種(ROS)と、小胞体(ER)ストレスの関与を検討し、2型糖尿病の発症メカニズム解明、および治療応用への展開を目指すものである。 1)2型糖尿病モデルマウスにおけるミトコンドリアROSとERストレスの同定 2型糖尿病のモデルとして、レプチン遺伝子異常によるob/obマウスとレプチン受容体異常に起因するdb/dbマウスを用いた。生後18週にて明らかな糖尿病を呈する両マウスの膵臓を単離し、RNAを抽出した。RNAからcDNAを作成し、RT-PCRにて検討したところ両マウスにおいて、各々の対照群と比較してBip, PERK, Irelα, Calnexin, Calreticulinの発現が増強していた。また、よりインスリン分泌能の低下を示すdb/dbマウス膵にてapoptosis誘導に関与するCHOPの発現が増強していた。ミトコンドリアROSは免疫組織化学染色にて検討し、両マウスの膵臓にてミトコンドリア電子伝達系の賦活化を示すMitotracker Red CC-1の発現が増強していた。これらの結果より、両2型糖尿病モデルマウスの膵臓においてミトコンドリアROSとERストレスの増加が認められることが確認された。 2)遺伝子導入マウスによるミトコンドリアROSとERストレスの解析 ミトコンドリアROSを除去するMn-SODマウスは既に作成済みである。ERストレス緩和に働く分子、Bipを膵β細胞特異的に発現誘導しうる発現プラスミドコンストラクトを作成した。細胞における発現誘導実験にて、野生型の約3倍のBip発現を観察した。現在、トランスジェニックマウス作成の最終準備中である。これらのマウス、および両者をかけ合わせたマウスにおいて、高血糖などを導入し膵β細胞機能を検討する予定である。
|