2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現パターンの個別化検索に基づく食道癌特異的治療の臨床応用
Project/Area Number |
16390387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30215454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 正樹 北海道大学, 病院・助手 (40333611)
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20174394)
多田 光宏 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10241316)
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Keywords | 食道癌 / 遺伝子診断 / 予後 / 腫瘍特異的抗原 / 遺伝子治療 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
食道癌で特異的に発現する遺伝子を同定し、治療遺伝子の標的とすることを目的としておこなったスクリーニング(RT-PCR法および免疫染色法)においてRCAS1遺伝子、Caveolin-1遺伝子、E2F-1遺伝子、DARPP-32遺伝子およびsurvivin遺伝子の過剰発現が食道癌症例の予後と相関することが明らかとなった。一方、宿主の免疫機構が癌を認識して抗腫瘍免疫機能を誘導していると思われる症例では極めて予後良好であることを、食道癌に浸潤したCD4、CD8陽性Tリンパ球を調べることで証明し報告したが、今回、同一の集団において癌特異的抗原であるNY-ESO-1の発現とCD4、CD8陽性Tリンパ球の誘導性に有意な相関があることが判明した。特に、病期III以上の進行食道癌症例において、NY-ESO-1を発現している症例(およびCD4、CD8陽性Tリンパ球がともに誘導されている症例)は有意に術後の長期生存例が多いことが判明した。一方、マイクロアレイ法を用いて同時に1300遺伝子の発現を解析することを目的として、癌凍結検体ライブラリーを構築した。インフォームドコンセントの得られた本研究への登録症例は6000症例以上となり、このうち食道癌症例56症例に対して解析が進んでいる。現在までに判明している遺伝子発現パターンの相違は、リンパ節転移の有無における86遺伝子であり、この遺伝子群の検索によって約95%の正診率で転移の有無が予測できることが判明しているが、現在さらに多くの症例の解析を蓄積している。個別化療法に用いる標的遺伝子としては、予後因子と判明した遺伝子を対象としているが、これらに対するプロモーター配列および遺伝子発現を抑制するRNAiなどの構築を模索している。
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