2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療における倫理的問題解決への看護職の関与に関する行動指針の開発と評価
Project/Area Number |
16390628
|
Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
高田 早苗 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (50226784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井部 俊子 聖路加看護大学, 看護学部, 学長 (50365839)
野嶋 佐由美 高知女子大学, 看護学部, 教授 (00172792)
太田 喜久子 慶應義塾大学, 看護学部, 教授 (60119378)
手島 恵 千葉大学, 看護学部, 教授 (50197779)
安藤 広子 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (20267503)
|
Keywords | 行動指針 / 臨床倫理委員会 / プロセス評価 / 質問紙調査 / ワークショップ |
Research Abstract |
1.研究協力施設における「臨床倫理委員会の設置および運営に関する指針」の試用と評価・修正 臨床倫理委員会の設置に関する調査結果等に基づき、日本看護協会倫理検討委員会をベースに指針案が作成され、有識者コメント及び検討修正等を経て平成18年11月完成・刊行された。 2.医療機関における看護職員の倫理面へのエンパワーメントとその評価 設置主体が異なる3総合病院で、看護部と協同で看護職員の倫理的実践能力の開発を目指し勉強会を実施した。参加者の発言や変化を記述し、1年後には勉強会の効果を知るために2施設で質問紙調査を実施し、現在結果分析中である。 A施設:5月に発足した看護部倫理委員会に外部委員として関わり、評価を実施した。委員会は毎月定例で行われ、各部署の倫理的問題の共有や対応策の検討、事例検討等、積極的な討議を行った。評価では回答者全員が、事例検討が「役に立った」と回答し、その理由は「解決の方向性が見出せた」「他者の意見を聞くことで認識が広がった」などであった。 B施設:平成18年6月より主に事例を提出した部署の看護師と研究者2名とで2ヶ月毎に、勉強会を開催した。提出された事例は、いずれも厳しい予後の患者へのケアにおける困難や医師との葛藤を含むものであった。各部署から中堅〜若手の看護師で継続して学ぶ意思のある者を募り、倫理的問題に取り組む核となる人材を育成できるようなエンパワーメントを今後もはかっていく。B施設については、現段階ではまだ評価できる時期にはないと判断している。 C施設:平成18年4月から看護部と安全管理委員会のメンバーを含む有志看護師約30名と、共同研究者や大学教員、大学院生とともに、毎月勉強会を開いた。第1〜6回までは、日本看護協会『看護者の倫理綱領』の抄読会、第7回以降は、事例検討を行った。参加看護師への質問紙調査を実施した。この間、暴力対策マニュアルの見直し、患者への不適切な対応をした医師への上司からの訓告、倫理委員会(施設全体)における倫理的問題を取り上げて検討する動きとなど、看護部内に留まらず組織的な変化が見られつつあり、成果があがっている。
|