Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 久 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60153706)
松田 友義 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70159151)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
王 秀峰 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (30301873)
神近 牧男 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20032310)
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Research Abstract |
「気候生産力」が「様々な植生の生育抑制要因」を下回る場合を砂漠化と定義づけ,黄河流域の砂漠化危険度を評価する準備を行った。気候生産力として過去20年間のNDVIの変化を調べた結果,現況は祁連山脈より北部では指数の減少が著しかった。降水量の減少は見られず,気温が年々増加傾向にあった。 主な植生の生育抑制要因を,土壌水分量,土地利用と放牧圧,経済的要因として検討した結果,以下の結論が得られた。 土壌水分量 土壌水分量の推定誤差は有効水分量に対して10%前後であり,蒸発量がゼロとなる時の土壌水分量から決定できることが示された。熱収支モデルから計算された土壌の乾燥度指標と現存の植生分布を対比させることで,草地がこの地で生活できるポテンシャルを十分に持っていることを明らかにした。下流域では,渇水時に地下水の揚水灌漑が頻繁におこなわれていたが,揚水時に少ない降雨を有効化する努力も認められた。 土地利用放牧圧 砂漠化地域と緑化地域を抽出し,前者が牧畜地域に多く,後者が農耕地域に多いことが認められた。植生回復において土壌pHが上昇,土壌養分の流失,土壌の硬化が植生発達を抑制する主な要因であった。微生物活性は非常に低いが,土壌窒素の蓄積に大きく寄与していた。現在の砂漠化現象の主原因は,単位土地面積あたり高収入が得られるヤギの過放牧が土地劣化をもたらしていることがわかった。 経済的要因 現地調査を行った結果,1)その結果多くの農家が3,000ムー余りの広大な土地を管理している,2)飼料作に向く土地は狭小で,なおかつ用水の確保も困難な農家が存在する,3)放牧が禁止されたために飼料の確保が経営拡大の制約条件になっている,従って沙漠化の進展を防ぐためには,限界地での農家の育成が急務と思われる。
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