2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナイル川全流域モデルの構築による持続的潅漑利水管理と洪水防御に関する研究
Project/Area Number |
16405031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
畑 武志 神戸大学, 農学部, 教授 (70031193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中丸 治哉 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (80171809)
多田 明夫 神戸大学, 農学部, 助手 (00263400)
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Keywords | 蒸発散量 / ナイル川 / 潅漑効率 / ソルガム / ゲジラ潅漑 / リモートセンシング / スッド湿地 |
Research Abstract |
利水及び治水についてナイル川流域の問題を解決するために、日本での状況を参照しつつ検討を進めた。水資源の持続的利用のため、潅漑水利用効率の向上、そして高水管理など、計画上重要な問題について検討した。乾燥地における貴重な水資源の有効利用のため、アフリカ最大88万haの面積をもつゲジラ潅漑地区において、潅漑水管理の合理化に関する基礎的な試験を行った。降水量、流最等の限られた水文データという制約下で、ナイル川流域の水資源の保全と利用に関して、ナイル川総流量の大半を占める青ナイル川の流量把握に関するモデルの開発を行い、白ナイル川に関してはその流量特性に支配的影響をもつ広大なスッド湿地域の水域及び貯留水量の年間変動特性を明らかにし、さらに今後のナイル川モデルについて考察した。 ナイル川水資源利用に関し、作物用水量と密接な関係をもつ実蒸発散量の空間的分布について、衛星データを利用して乾燥地域の特性を明らかにした。また、ゲジラ潅漑地区をモデルに水資源逼迫下での潅漑効率の向上を目指した実験的研究を行った。ゲジラ潅漑地区だけで32万haの作付けが行われる主要穀物ソルガムの潅漑効率はナイル川水資源利用に影響が大きい。作付け時期をずらせた実験では、8月植え付けが潅漑効率上の限界であることを明らかにし、それ以降の植え付けで無駄になる用水を冬作や発電用水などに回すことで、効果的水利用が可能になることを示した。また、潅漑間隔を変えることによる用水量や収量への影響を明らかにした。飼料作物としての大麦の導入による持続・安定的な生産体系を検討した。水源である青ナイル川の流量モデルについて、既存水文気象データを基にして、流域内流動水のモデル化を行い、年間を通した水資源変動を把握した。洪水対策のための高水計画について論じ、計画のあり方や農民参加型の潅漑水管理に加えて防災面での農民の役割について考察した。
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Research Products
(6 results)