2004 Fiscal Year Annual Research Report
人間の立位および歩行における姿勢動揺の関連性-新しい転倒予防システムの構築を目指して-
Project/Area Number |
16500370
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
中澤 公孝 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究, 室長 (90360677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 匡樹 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 流動研究員 (40392196)
赤居 正美 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 部長 (80143452)
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Keywords | 姿勢制御 / 静止立位 / 歩行 / 身体重心 / 加速度 / 反持続性 |
Research Abstract |
安定なヒト二足歩行の実現において、周期的下肢活動の生成と共に重要となるのは直立姿勢を保つための適切な身体重心位置の制御である。これまで、歩行動作の安定性に関する研究の多くは下肢動作の変動に着目してきた。しかしながら、全身の安定性の指標となる身体重心位置の変動に関する検討は少なく、歩行時に身体重心がどのような調節を受け、その安定性が確保されているのかについて十分な理解は得られていない。また、同様に直立姿勢の維持を必要とする静止立位時の重心制御との関連性も明らかにされていない。そこで本研究では歩行時の身体重心加速度を計測し、身体重心加速度の大きさが一歩毎にどのように変調されているか、その時間特性に着目して検討することを第一の目的とした。また、静止立位時にも同様の計測を行い、歩行および静止立位時それぞれの条件で得られた重心加速度の時間特性の関連の有無を明らかにすることを第二の目的とした。 実験には17名の健常若年被検者が参加し、床反力計内蔵型トレッドミル上で10分間の静止立位試技および歩行試技を行った。これらの試技中に水平面方向の床反力が記録され、身体重心位置加速度に変換された。解析の結果、歩行時の身体重心加速度の大きさは一定速度でのトレッドミル上の試技においても一歩毎に変化しており、過去に増大(減少)していれば未来には減少(増大)するという傾向があらゆる時間スケールにおいて成立するという時間特性(反持続性)を有していた。また、この反持続性のレベルは、同様に算出された静止立位時の身体重心加速度時系列における反持続性のレベルと類似しており、二者の間には有意な正の相関が認められた。これらの結果から、歩行中の重心加速度の大きさが一種の恒常性が保たれるような制御を受けていること、この動的な状況での恒常性が静止立位時における静的な身体重心位置の制御と関連していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)