2005 Fiscal Year Annual Research Report
在留外国人子女のためのデジタル理科教材の開発とその教育効果〜中南米出身者を中心に
Project/Area Number |
16500609
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Research Institution | Toin Universty of Yokohama |
Principal Investigator |
赤堀 正宜 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (00167826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アルベルト パラシオス 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (40267646)
関根 詮明 桐蔭横浜大学, 工学部, 助教授 (00086068)
角替 弘規 桐蔭横浜大学, 工学部, 助教授 (10298292)
中丸 久一 桐蔭横浜大学, 工学部, 講師 (40172390)
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Keywords | デジタル理科教材 / 在留外国人子女 / 遠隔教育 / 理科用語 / 日本語教育 / パソコン利用教育 / ニューカマー |
Research Abstract |
近年増加しつつある在留外国人、とくに中南米出身者の中学校に在籍する子女のために、理科で用いられる用語やキーワードを分かりやすく解説するデジタル教材の開発を目的とする研究である。該当する子女はおよそ6千人と見積もられ、日本の各地に分散して住んでいる。対象はこれらの生徒であるが、日本の中学生でも利用できるように、川崎市立宮崎中学校の協力を得て、学習指導要領からテーマを精選して教材作成に入った。 本研究では、理科の事象を理科実験のビデオによって紹介し、その意味を図形により抽象化して解説するという手法を核として、スペイン語、英語の解説を加えて教材を作成し、パソコンのサイトで自由に利用できるように工夫した。本年度は昨年度に引き続いて中学校理科の第二分野から6本の作成を試みた。それらは「光合成光のしくみ」「セキツイ動物の特徴」「たまねぎの根端細胞の分裂」「動物の有性生殖バフンウニ」「マグマからできた岩石を調べる」「太陽の1日のうごき」などである。 本年度は教材作成と並行して、教材の効果を検証すべく、教員(日本語指導者)と外国籍生徒に対して調査を行った。まず教材作成の中間評価として、平成17年9月に実際に神奈川県内の公立小中学校において外国籍児童生徒の指導に当たっている日本語等指導者50名にアンケート調査を実施した。このアンケート調査によって、日本語等指導者が社会科・理科・国語等の教科で指導の難しさを感じているという実態が明らかとなり、またここで開発されたような教材があれば「指導がやりやすくなる」とする回答が大多数を得たことが明らかとなった。一方教材配信の具体的方策については、webを用いたon demandによる教材配信よりも、むしろCD-ROMやビデオテープによる教材の配布も合わせて検討する余地があることが明らかとなった。 生徒による教材の評価については、平成18年2月より約1ヶ月間をかけて約15名の外国籍生徒に作成された教材(光合成のしくみ)を視聴してもらい、その効果について検証した。教材視聴の結果、生徒たちは概ね高い関心を持って教材を視聴し、「分かりやすい」「よく分かる」といった反応を得ることができた。一方で、教材の視聴にはある程度の「学習言語能力」を身につけていることが前提であるため、母語にせよ日本語のいずれの言語においても学習言語の獲得まで十分至っていないと見られるケースについては、教材視聴の効果について一定の限界があるのではないかということが明らかとなった。今後、多言語による教材の開発をいっそう進める必要とともに、外国籍生徒の学習言語能力をいかにして伸ばしていくか、その具体的方策について教材の運用と絡めながら検討を進める必要がある。
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Research Products
(4 results)