2004 Fiscal Year Annual Research Report
1930〜60年代における日本物理学界の国際学術交流の分析
Project/Area Number |
16500629
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 滋郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179171)
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Keywords | 堀 健夫 / 学術交流 / ボーア研究所 / 量子力学 / 分光学 / 仁科芳雄 |
Research Abstract |
本研究の目的は,北海道大学付属図書館が所蔵する物理学者・堀健夫が残した膨大な手稿類について,(1)世界の科学史研究者の利用に供するべく、整理・調査を行ない目録化すること、ならびに(2)手稿類の分析を通して,1920〜60年代の日本の物理学界の国際的学術交流の実態について、「公的な文書」とは違う視点から明らかにすることである。 目的の(1)については,手稿類の半分強について,読了とテータベース化を終えた。記述内容の不明な点については,国内に存在する関連文書との突き合わせを中心にして解読を進めつつある。なお,当初の予定では今年度に海外調査まで進める予定であったが,国内での調査を可能な限り進めてからのほうが効果的と判断し,来年度に行なうとにした。 目的の(2)については,ボーア研究所に留学中の仁科芳雄をはじめとする日本人物理学者たちの,日本の物理学界の後進性・封建制ゆえの「葛藤」や,戦前期における,帝国大学と植民地の理工科大学との「格差」,学術交流において実験機器メーカー(あるいは輸入商社)が果たした役割など、これまでは指摘されることのなかった事実が明らかに成りつつある。来年度は,これらについて時代背景も含めて整理する予定である。
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