2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520326
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
舘岡 洋子 東海大学, 留学生教育センター, 教授 (10338759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元田 静 東海大学, 留学生教育センター, 講師 (40349428)
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Keywords | 協同学習 / 協働 / 認知面 / 情意面 / 対話 / 創発 / 内省 |
Research Abstract |
本研究の第1段階として、認知面と情意面に分けて、それぞれ実際の授業場面における協同学習の観察と分析を行った。 認知面では、「外化と内省」の仕組みを分析するための調査を行った。中・上級の日本語学習者に対して、さまざまな展開が予測される推理小説を用い、テキスト読解の途中で各自の予測をさせた。さらにグループで「話し合い」を行い、話し合いが各自のテキスト理解の見直しにつながるか、話し合いの後、当初の自分の読みを変化させているか、などを観察した。また、特にその変容をとらえるためのフォローアップ・インタビューも行った。 その結果、適切な予測へと変更していく気づきの多い学習者は、ひとりで読んでいるテキスト理解の段階でテキストベースの生成が適切なものであり、また予測のためのいくつかの選択肢を持っている。しかし、この選択肢は必ずしも学習者本人が明示的に気づいているものではなく、むしろ他者との話し合いの過程で触発されて気づいていくようである。他者からのヒントは直接的なものである必要はなく、むしろそれをきっかけにさまざまな可能性を検討することになるようだ。本年度はパイロット的な調査であるが、来年度以降はミクロな観察だけにとどまらず、「話し合い」に参加した各学習者のそれぞれの内省データを収集し、相互作用の中での変容を観察していきたい。 情意面では、読解に関するグループ活動を行い、協同学習の成功と情意要因(自尊感情、グループの雰囲気、モラール)との関係について調査した。結果、協同学習の成功と有意に関わっていたのは、グループ活動の活発さや明るさ、グループの連帯性、責任感であった。一方、当初協同学習の成功と関わりがあると予想していた自尊感情や仲間関係、優しさ、温かさは有意な相関関係になかった。協同学習の失敗要因としては、成績に対する考えや授業に対する意欲、役割の重要度などがグループ成員間で異なっていたことがあげられた。来年度以降は、相互作用場面のデータ、質問紙、フォローアップ・インタビューを用いて、1)協同学習に対する学習者の意識や意欲の形成過程、2)認知面での達成感・満足度と情意要因、協同学習の成功との関わりについて詳細に解明していく予定である。
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Research Products
(6 results)