2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520326
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
舘岡 洋子 東海大学, 留学生教育センター, 教授 (10338759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元田 静 東海大学, 留学生教育センター, 講師 (40349428)
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Keywords | 協同学習 / 協働 / 対話 / 学び / 認知面 / 情意面 / 内省 |
Research Abstract |
昨年度は認知面と情意面の調査を独立して行ったが、2年目となる本年度は同一調査により認知、情意両面からの検討を試みた。 調査は、2005年7月に全8回にわたる日本語短期集中授業において、対話による協働的な読解の授業実践を行い、ビデオ撮影、参与観察、質問紙の記入によりデータを収集した。本実践の読解授業は大きく2つのタイプに分けられる。ひとつは参加者各自が異なったテキストを読み、その情報を持ち寄って統合し、課題(設問に答える、推理小説の最終部分を予測するなど)を行うものである。もうひとつは同一テキストを読んで、参加者同士が対話によって互いの意見の同じ部分と異なった部分を確認し、理解深化をめざすものである。 認知面では、(1)まず、ひとりで読んだときの理解が重要であり、自分の理解を持たずに他者と対話をしても理解深化はえられない。(2)他者との対話をつうじて自分の理解を見直す(内省する)ことが重要であるが、現実にはグループでの話し合い時に自分の理解を見直さずに、派手な意見に迎合する傾向が多く見られた。そこでこれらをふまえ、理解深化につなげるためには、(1)ひとりでの読解をも重視した協働が重要であり、(2)たえずテキストに戻って自分の意見と他者の意見を吟味する必要がある。実際の授業ではそのような活動が必然となるようなデザインを工夫すべきであろう。 情意面では、理解が容易なテキストの場合に動機づけや自尊感情が高まり、不安が低くなることが明らかになった。逆に、理解が困難なテキストでは不安が高まり、動機づけや自尊感情が低くなる傾向が見られた。そのため、活発な対話を促すためにはテキストの難易度に配慮する必要があるといえる。しかしながら、単に活動が楽しく盛り上がったからといって、必ずしもそれが理解の深化につながったわけではないことも観察された。このことから、協働的な学習活動における動機づけには、好奇心やわかる喜びなどに関わる(1)認知的な動機づけと、楽しさや連帯感などに関わる(2)情意的な動機づけの2つに分けて考える必要性がうかがえた。次年度は、理解深化と認知的動機づけとの関係、認知的動機づけと情意的動機づけとの関係に着目し、協同学習における理解と情意の統合をはかる予定である。
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Research Products
(4 results)