2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520326
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
舘岡 洋子 東海大学, 留学生教育センター, 教授 (10338759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元田 静 東海大学, 留学生教育センター, 講師 (40349428)
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Keywords | 協同学習 / 協働 / 対話 / 認知面 / 情意面 / 参加の動機づけ |
Research Abstract |
本年度は、同一クラスを調査対象として全8回の授業のデータを採取し、質問紙調査、ビデオ録画、参与観察、クイズなどにより、協働的学習において認知的な要因と情意的な要因がどのように関連しているかを探った。具体的には、(1)全8回の質問紙による全体調査、(2)協働的学習の成否に関わる要因の検討、(3)話し合いをめぐる理解と情意の検討という3つの分析を行った。 その結果、(1)では、全体的に簡単でおもしろいタスクのときは理解面、情意面が高く、難しいタスクのときは、理解面、情意面が低くなる傾向が見られた。そして、テキストの難易度が大きく関与している可能性がうかがえた。しかし、難しいタスクでも、協働的活動を成功させ、理解面、情意面ともに高かったグループがあった。 そこで、(2)では、そのグループの活動内容を検討した。その結果、雰囲気を明るくしたり、話し合いの道筋をつけたりするキーパーソンがいること、語彙や内容に関する質問が多くなされること、日本語能力の低い学生を助けていること、ルールを守り責任を果たしていることなどが、活動を成功させる要因として浮かび上がった。 (3)については、話し合いがうまくいって妥当な予測案が出せたグループと話し合いが深まらなかったグループがあったが、後者は話し合いをしたからといって必ずしも互いの理解や予測を吟味したり深めたりする機会にはならず、むしろ自由に展開を話し合うことによってよりユニークなおもしろい予測へ向かおうとする傾向が見られた。話し合いが十分に行われるには「理解」と「情意的・社会的変数」の両方が影響しているが、話し合いが成功しているグループでは、これらがいずれもよい循環をなしていることがうかがえた。 このようにして、協働的学習の成否には認知的な側面と情意的な側面がともに影響し合っており、協働的学習が成功するグループはこれらがよい循環をなしていることがわかった。そして、好循環をなすためには、協働的学習活動への「参加の動機づけ」が重要であるとの結論を得た。
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Research Products
(1 results)