2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世広島藩領における林野「植生」と「動物相」の研究
Project/Area Number |
16520388
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐竹 昭 広島大学, 総合科学部, 教授 (00127656)
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Keywords | 江戸時代の植生 / 江戸時代の動物相 / 燃料炭 / 猪 / 中国山地のたたら / 広島藩 |
Research Abstract |
〔研究目的の達成状況〕 本研究は,近世社会において,地域の人々の暮らしのありようが林野利用とその植生のあり方,さらには動物相にどう現れているかを明らかにする。広島藩領の動物相に関する小稿はすでに昨年度発表したが,本年度はそれを発展させ,沿岸部から猪や鹿が逐われていった具体例として呉市安浦町内平に残る猪鹿垣の調査を行い,その成果を発表した。また,林野利用に関しては,昨年同様島根県奥出雲町の絲原家・櫻井家資料の調査に参加し,松江藩領奥出雲地域から広島藩領奥備後地域にわたるたたら製鉄地帯の燃料林関係資料の閲覧・収集を行い,絲原家資料については,その燃料林集積過程についての成果を発表した。 〔研究実施計画の実施状況〕 1.広島藩領の享保10年山帳の調査・収集と分析 (1)昨年度報告したように,林野利用と植生の検討については奥出雲と接する備後内陸部の奴可郡に重点をおいた。すでに41カ村の山帳を複写・収集ずみである。 (2)上記資料の集計作業について,本年度はまずその筆写を行った。できればデータの入力作業を完成したかったが,個々の林野の所在など現地調査を先に行う必要が生じ,撮影資料の取り込みなどに必要な複合機を購入し,謝金の支出はとりやめた。作業は代表者が引き続き行っている。 2.広島藩領の国郡志書出帳の調査収集と分析 広島藩領のうち,全く実施していなかった賀茂郡について,31カ村分の収集を行うことができた。 3.松江藩領奥出雲におけるたたら製鉄と,広島藩領奥備後の製炭関係資料の調査・収集 奥出雲の資料調査を行い,奥備後の林野から奥出雲への燃料炭の流通についての資料を得たが,1.(2)で記したように,奥備後の林野と輸送ルートなどについての現地調査も行った。 4.既往の研究成果や関連する学問領域の学習 (1)中国山地の地域史,製鉄,製炭関係,及び瀬戸内の塩業史関係の図書を購入した。 (2)広島大学で開催された日本鉄鋼協会研究大会に参加するなど,周辺の学問領域についても学習に努めた。
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Research Products
(2 results)