2005 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代以降における漁撈民の多様化に関する考古学的研究
Project/Area Number |
16520466
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山浦 清 立教大学, 文学部, 教授 (50111589)
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Keywords | 漁撈民 / 家舟 / 海士 / アマ / 海女 / 捕鯨 |
Research Abstract |
本年度は、主として九州地方における漁撈民の様相を跡付けることとした。なぜなら西北九州などにおいて、「家舟」などに見られるように、民俗学的に興味深い漁撈集団が知られるからである。 考古資料からすると、当該地域では縄文時代以降、海獣類・大型魚類を対象とした漁撈活動が活発に行われていたことが確認され、また彼らは交易民としての役割も果たしていたことが推測される。弥生時代に入ると、そうした役割と共に、具体的な彼らの姿が明らかとなる。すなわち後にアマと呼ばれることとなる潜水漁撈民としての活動である。そうした伝統を基盤として、古墳時代以降、専業的な「贄」貢納集団として発展した可能性が指摘される。同時に捕鯨専業集団も成立した可能性がある。こうした漁撈民集団は、単なる漁撈民ではなく、朝鮮半島などとの交易・戦役にも重要な役割を果たしたであろう。そうした流れの中で、中世において「海賊」・「倭寇」として知られる人々の基盤も形成されたと理解されるし、そこに「家舟」漁民の原型を見ることもできる。また捕鯨の伝統は、考古資料からするなら、近世において盛況を呈した西海捕鯨に繋がる可能性があることが判明した。
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