2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの大都市における人口高齢化に伴う都市経済構造の変容
Project/Area Number |
16520486
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高山 正樹 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (00226937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 茂治 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (10135288)
XU Weidong 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10263344)
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Keywords | アジアの大都市 / 人口高齢化 / 高齢者施策 / 都市化 / 都市経済構造 |
Research Abstract |
昨年度に収集した資料を分析するとともに、一定の分析結果をそれぞれの担当者が各地で行われた学会で報告した。具体的には次の通りである。高山正樹「アジア大都市における人口高齢化に伴う都市経済構造の変容」(2005年6月11日、人文地理学会第255回例会(特別例会)、高松)、許衛東「高齢化社会を迎える上海の諸側面について」(2005年7月24日、アジア太平洋研究会大会、神戸)、Masaki TAKAYAMA, Shigeharu NOMURA ‘The role of gender, fertility rate and social security in Asian countries' The 8^<th> Asian Urbanization Conference, Kobe, in 21^<st> Aug. 2005これらの報告などを通して研究のまとめを進めた。 アジアの都市で急速な人口高齢化が進んでいる実態が、各種統計結果から明白となった。人口高齢化は出生率低下現象と裏表の関係にある。このような状況の中で、家族や女性の役割も変化してきており、各都市はそれぞれの特徴に基づいた家族政策や高齢者施策を進めている。高齢者扶養を家族に任せることが、各都市で限界に達しつつある状況である。今後は、高齢者福祉の分野にも民間の活力を利用する福祉産業の増大が期待される。その結果として、都市の就業構造や産業構造の再編も必要不可欠になってくる。さらに、人口減少社会において、高齢者をいかに活用するかも重要な柱になってくるであろう。 もちろん、都市経済構造の変容は国民経済構造の中で顕在化しているが、都市圏内では、同時に人口の都市内移動に基づく地域構造変化が現れていることは注目してよい。つまり、都心やインナーシティに高齢者が割合として多いことや、郊外の住宅団地は近いうちに高齢化したコミュニティが形成される可能性が高い。この点は高齢者の今後の生活様式と関連しており、日本の都市圏の状況とも共通する課題である。その際、如何にコミュニティを形成するか、形成されるべきかは、理想的な高齢社会を形成する上で重要な課題となってくることも明らかとなった。
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