2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模山火事後インドネシアのアブラヤシ中核農園を対してみる開発と環境
Project/Area Number |
16520509
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中島 成久 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)
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Keywords | 持続性 / アブラヤシ / 西スマトラ / ミナンカバウ / 共有地 / タナ・ウラヤット / 中核農園 / 暴力 |
Research Abstract |
研究課題の実現のために、平成17年度に主に次の二つの活動(海外出張)を行った。 第一は、Roundtable for Sustainable Palm Oil(RSPO)III(第3回「持続的なアブラヤシ栽培、消費のための円卓会議」)出席のために、シンガポールに出張したこと。 この会議は、マレーシア、インドネシアに続いて、シンガポールで開かれた第3回目の会議で、東南アジアを中心に、全世界から約500人が参加した。アブラヤシへの需要が急速に拡大するにつれて、「持続的な」アブラヤシ栽培と消費が各方面から要請されており、この会議は、アブラヤシ農園の経営者、労働者、NGO,学者に共通の話し合いの場を提供し、貴重な提言をまとめた。今後各方面への影響が注目される。 第二は、インドネシア共和国西スマトラ州における持続的なアブラヤシ栽培の可能性について、2006年2月、1週間のフィールドワークを行った。 2001〜2003年の科研費による研究によって、西スマトラのミナンカバウ人による「共有地」(タナ・ウラヤット)返還運動の実態調査を行っており、今回は中核農園方式でアブラヤシ栽培の行われているそうした共有地における持続性の問題を追及した。 ミナンカバウにおける母系共有地(タナ・ウラヤット)は、彼らの重要な経済的なリソースであるが、そうした共有地の開発が、母系成員間の同意を経て行われるのではなく、一部の指導者の「決定」を根拠に行われることが多く、それが混乱の原因である。そうした開発のプロセスの不透明性は、暴力を誘発し、結果的には最終的な開発の成果が十分上がらない結果につながり、環境への負荷が大きくなる傾向がある。
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