2006 Fiscal Year Annual Research Report
大規模山火事後インドネシアのアブラヤシ中核農園を対してみる開発と環境
Project/Area Number |
16520509
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中島 成久 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)
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Keywords | アブラヤシ農園 / プラスマ / 中核農園 / 共有地 / 地方政府 / ナガリ / アダット / 開発 |
Research Abstract |
平成18年度は、次のような研究活動を行った。 (1)二週間のインドネシアでの調査を行った。まず、数日間ジャカルタに滞在し、文献調査、関連研究者、NGO関係者へのインタビュー調査を行った。 (2)次に、西スマトラ州で8日間の現地調査を行った。 (3)西スマトラ州西パッサマン県、ナガリ・カパールでは、アブラヤシ農園開発にともなう紛争を詳細に研究した。ナガリ・カパールでは、1980年代後半に住民の共有地にできたアブラヤシ農園が、ナガリの住民の同意なしに、伝統的な母系社会の指導者と地方政府、中国人資本家との交渉のみで造られた。そして、共有地が「プラスマ」という小土地所有者に分割された。これに対して、基本的にナガリ内でのコンセンサスの不在を慣習法違反だと主張する住民に対して、警察、やくざ組織を動員した暴力が、「オルデバル」時代同様行使され続けていることを確認した。こうしたアブラヤシ開発の我が最終的には、山火事という形での環境への負荷と表れてくることを確認した。 (4)パダン・バリアマン県ナガリ・カパロ・ヒラランでは、2000〜2003年度の科研費で調査した地域のその後の変化を追跡調査した。その結果、住民の共有地にあるゴム農園を経営していた軍管区が経営不振のためその経営をやめたこと、また農園の開発権が地方政府に移行し、住民は今のところ共有地内で「自由」に耕作できる権利を回復したが、地方政府が今後どういう方策を取るかわからない状態で、今後の予断はできないことを確認した。 (5)リマプルコタ県ナガリ・ムンゴでは隣のナガリ(スンガイ・カムニャン)の住民と共有地の権利に関する基本的な認識が異なっていて、ムンゴの住民は政府に対して戦っているだけではなく、隣のナガリの住民と境界争いに発する対立を抱えていることを確認した。 (6)二回の研究発表を行った。日本文化人類学会では「開発の正当性」の問題をカパロ・ヒラランの事例を通して発表した。また、川崎市の市民講座で「西スマトラの共有地返還闘争」について、発表した。京都大学東南アジア研究所で文献調を行った。2007年9月には、ヨーロッパ東南アジア研究学会で発表を予定している。 (7)11に記載している二本の論文を発表した。
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Research Products
(2 results)