2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国における家庭内紛争の処理手続に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16530004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
國谷 知史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90234468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南方 暁 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70125805)
岡 綾子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助手 (50203956)
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Keywords | 中国家族法 / 中国民事訴訟法 / 紛争解決・処理 / 調停 / 中国司法改革 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間実施してきた文献資料調査について必要な補足をおこない、中国における家庭内紛争処理手続の実態とモデルについて民事訴訟法を専門とする海外共同研究者から研究成果を聴取し、日本における家庭内紛争とその法的処理手続の概況と比較しながら、共同研究の成果のまとめをおこなった。 まず、海外共同研究者の潘剣鋒北京大学法学院教授は、平成18年10月11日に「中国解決家事糾紛模式的初歩研究」と題する報告をおこない、中国の家庭内紛争解決方式の実態の分析結果を明らかにした。次に、南方は、家事調停に焦点を合わせて日本の紛争処理手続の分析を制度面および運用面でおこなった。一方、國谷は、中国の夫婦財産をめぐる紛争を対象として歴史的分析を加え、裁判手続と裁決規範の形成過程を明らかにし、現行制度における離婚時の処理手続と基準を示した。また、資料収集と整理の面では、岡が、中国家庭内紛争解決・処理の組織・手続に関する法令(司法解釈を含む)のリスト作成、裁判例のリスト作成、学術論文のリスト作成をおこなった。 本研究では、中国における家庭内紛争の解決・処理のための組織・手続について現行法制度の基本的枠組みが確認された。その上で、司法改革及び裁判実務の研究(動向分析)の結果、第1に、調停組織・手続の整備が進んでいることが明らかになった。そして、制度運用の基本的状況においても、和解・調停・判決など紛争処理方式が多様になる一方、調停(訴訟外及び訴訟内)の効果がきわめて高いことが確認された。第2に、中国社会の変動に伴い、様々な性質(内容)の紛争が家庭内で生じるようになっており、それらが法的紛争として捉えられるようになっているので、今後、紛争処理の手続・制度の重心は訴訟へと移っていくとともに裁判所の役割がよりいっそう重要になってくるであろう、との結論が得られた。
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Research Products
(4 results)