2004 Fiscal Year Annual Research Report
在中国の日・米・欧多国籍企業における集団的労使関係の比較研究
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16530274
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
古沢 昌之 大阪商業大学, 総合経営学部, 助教授 (30351480)
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Keywords | 工会 / 工会法改正 / 労働協約 / 団体交渉 / 労働争議 / 「工会の労働組合化」 |
Research Abstract |
1.「工会」を取り巻く状況 (1)中国では1999年から2002年(6月)までの間に、基層工会数が50.86万組織から165.84万組織へ、工会員数が8,690万人から1億3,155万人へと各々増加するなど、急速な組織化が進行している。 (2)この背景には、(1)2001年に『工会法』が改正され、25人以上の事業所・機関では工会設置が義務づけられたこと、(2)総工会が農村の郷鎮企業や出稼ぎ労働者の組織化に注力していること、などがあるものと思われる。 (3)しかし一方、2003年の労働争議件数が1992年と比べ27.8倍に達するなど、中国では社会主義市場経済の深化に伴う労使間の摩擦が顕在化している。 (4)こうした中、中国共産党・政府は工会の機能強化を通して、労使関係の安定化を図ろうとしている。具体的には前述した工会設置の強化のほか、団体交渉・労働協約制の推進、従業員代表大会制度による民主管理などが挙げられよう。さらに、総工会は労働関係法規策定への参画や貧困家庭の支援などセーフティネットの一翼を担う諸活動も展開している。 2.日系企業における集団的労使関係(アンケート調査の中間報告) (1)工会の設置率は7割弱に達している。但し、合弁企業の方が独資に比べ設置率が高い。 (2)工会役員の選出方法については、「社内の対立候補の中からの選挙」が最も多くなっている。 (3)工会の主たる活動については「労働条件の改善要求」が最も多く、また「工会」との協議の場を持つ企業が7割以上に達することから「工会の労働組合化」に向けた変化が感じ取れる。 (4)工会を一方の当事者とした労働協約は、過半数の企業で締結がなされている。締結の経緯については、地方政府や総工会からの要請によるものが大半を占めており、共産党・政府の政策・意向に沿った動きであることが伺い知れる。 以上
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