2005 Fiscal Year Annual Research Report
デリバリー・プロセスを構成する活動の主体的・空間的・時間的移転に関する考察
Project/Area Number |
16530282
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤村 和宏 香川大学, 経済学部, 教授 (60229036)
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Keywords | セルフサービス / 国際化 / 消費資源 / 文化移転 |
Research Abstract |
サービス・デリバリー・プロセスを構成する活動の主体的・空間的・時間的移転が顧客満足、職務満足、知覚品質、ブランド、生産性、収益性などに及ぼす影響を、サービス組織に対するヒアリング調査と観察調査によって考察した。多くの知見を得ることができたが、主なものは以下の通りである。 1.活動の主体的移転としてのセルフサービス化 標準化によるセルフサービス化はサービス組織の生産性向上の観点から導入されているが、消費資源(金銭、時間、肉体的および精神的エネルギー、知識、技能、補完物、空間など)の節約にも貢献する。しかし一方で、標準化によるセルフサービス化は顧客力(消費者がサービスから望む便益を引き出す能力)の低下をもたらし、さらに、このことはサービス組織の品質向上やイノベーションを妨げる危険性を秘めている。また、セルフサービスの導入には、それを受け入れる文化が必要とされる。たとえば、マクドナルドは中国でもフランチャイズ展開しているが、食べ終わったゴミやトレイを片付ける習慣がないために、その活動を専門に行う従業員を配置しなければならなくなっている。 2.活動の空間的移転としての国際化 サービス業の国際化は大規模小売業やホテルを中心に進展しているが、どちらも海外では苦戦している。サービス・デリバリーには従業員と顧客の参加と協働を必要とするために、日本文化で育ったシステムを他文化にそのまま移転することができないことによる。しかし、地方の美容院が北京に出店し成功している。この事例の場合、カットの技実力(世界大会で何度も受賞)とカットやパーマ概念の啓蒙が成功を導いていた。すなわち、デリバリー・システムの移転と同時に、文化の移転も行っている。この事例と先のマクドナルドの事例から、国際移転においてはそのシステムの育った文化と移転先の文化の違いを考慮し、現地化だけでなく、文化の移転も考えるべきである。
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Research Products
(1 results)