2005 Fiscal Year Annual Research Report
不本意な社会的アイデンティティと差別的態度の関係に関する研究-日米を比較して-
Project/Area Number |
16530401
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
池上 知子 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90191866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10314064)
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Keywords | 社会的アイデンティティ / 集団脱同一視 / 偏見・差別 / ステレオタイプ / ステイタス・システム / 学歴社会 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
本研究は、社会的アイデンティ理論に依拠しながら、不本意な社会的アイデンティティが、偏見や差別意識を助長するメカニズムを社会システムの異なる日本と米国を比較することによって明らかにすることを目的としている。日本社会は米国社会に比べ、学歴のもつステイタス機能が強力であるゆえ、学歴コンプレックスや不本意入学を生みだしやすく、その裏返しとして学校の序列に基づく偏見や差別意識が顕在化しやすいと考えられる。本研究では、日米の大学生を対象として、所属大学への脱同一視(所属を不本意に思うこと)が、他校の学生に対する評価にどのように影響するか、また、それは社会システムの相違によりどのように異なるかを検討することにした。 今年度は、前年度に作成した大学同一視・脱同一視尺度を用いて、日米の大学生を同一視群、非同一視群、脱同一視群に分類し、内集団の劣位が顕現化しアイデンティティへの脅威が増大したとき他校に対する評価がどのように変化するかを実験的研究により検討した。その結果、日本の大学生の場合、脱同一視群は内集団の劣位が顕現化すると、下位校の評価を選択的に引き下げる傾向を示したが、米国の大学生の場合、脱同一視群は上位校の評価を選択的に引き下げる傾向を示した。これは、日本の大学生は大学の序列システムを肯定し、これを温存させながら不本意なアイデンティティに起因する脅威から自己を防御しようとするが、米国の大学生は序列システム自体を否定することによって脅威に対処しようとしていると解釈できる。そこで、補足研究として、日本の大学生を対象に学歴社会の合理性に対する認識と他校の学生の評価の関係を調べたところ、学歴偏重社会を不合理とみなす者ほど上位校の評価が寛大になるという結果が得られただけで、学歴社会の肯定度と下位校の評価の間には関係がみられなかった。今後、双方の研究結果を統合的に理解する枠組みを探る予定である。
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Research Products
(1 results)