2004 Fiscal Year Annual Research Report
情報化社会におけるコミュニケーションと対人不安に関する臨床社会心理学的研究
Project/Area Number |
16530451
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
生和 秀敏 広島大学, 総合科学部, 教授 (90034579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 博司 下関市立大学, 経済学部, 教授 (80158378)
岩永 誠 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40203393)
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
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Keywords | コミュニケーション・ツール / 対人不安 / 社会的スキル / 社会的ネットワーク / 注意の方向性 / 自己関連情報 / 他者関連情報 / 解釈バイアス |
Research Abstract |
平成16年度は,携帯電話やメールの使用と対人不安との関係に関する調査研究とスピーチ場面における対人不安者の示す注意の方向性と解釈バイアスおよび不安との関係を検討する実験研究を行った。 (1)近年,携帯電話や電子メールは急速に普及し,コミュニケーション・ツールとして欠かせないものになっている。社会的スキルの高い人にとっては,コミュニケーション・ツールが増え,必要に応じて携帯電話や電子メールを用いることができる。しかしその一方で,対人不安が高く,社会的スキルのない人にとって携帯電話,特に電子メールは,相手と直接対面することなくコミュニケーションができることから,必要以上に携帯電話や電子メールに依存すると考えられる。本研究では,対人不安と社会的スキルが携帯電話や電子メールの使用や社会的ネットワーク数,精神的健康に与える影響について検討した。その結果,対人不安が高く社会的スキルの低い人は,回避的手段として携帯メールを使用する傾向があることが示された。また,対人不安の高い人は社会的ネットワーク数が少なく,精神的健康状態が悪く,友人関係に満足していないことが示された。 (2)スピーチ場面のように他者から評価される状況では,他者からの評価が気になる反面,ドキドキして思うように話せないといった自己に関連する情報にも注意が向く。本研究では,スピーチ場面において,自己に関連する情報と他者の動作といった他者からの情報のどちらに注意が向きやすいのかを,対人不安の高低で比較した。その結果,対人不安が高い人は一貫して自己に関連した内的情報に注意を向けやすく,不安が高く,自己をネガティブに評価していることがわかった。また,評価者の動作をネガティブに評価しやすく,それが対人場面の解釈バイアスに結びついている可能性のあることが示された。
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