Research Abstract |
本研究の目的は,生涯学習の視点から,高齢障害者の「学習」を支援するための具体的プログラムの開発を行なうことである. 広島県下の研究協力施設(通所介護施設)を利用し,在宅生活を送っている60歳以上の高齢者のなかから,研究への参加に同意を得た8名を抽出し,個別に生活歴,学習ニーズならびにその阻害要因についてのインタビュー,SF-36,MMSE,COPM(Canadian Occupational Performance Measure),生活満足度の評価を実施した.その後学習支援者を交えてグループを組織し,取り組むべき問題点と課題について話し合いを繰り返した.その結果,「食べる・作る・健康になる」,「転倒を予防する」,「物覚えを良くする」,「ゆっくり楽しく生活する」ならびに「個別の学習ニーズ」の5つのテーマが抽出された.1つのテーマに対して3〜4のモジュールを構成し,週1度,1時間の集団プログラムならびに個別の介入プログラムを実施した.その結果,SF-36は統計学的に有意な変化は認められなかったが,COPM,生活満足度得点は向上する傾向が認められた.また,学習者は軽度〜中等度の認知症を呈していたが,プログラムを実施するなかで新たな課題を取り上げ,プログラムの追加と修正に積極的に関わっていくことが認められた. 次に,広島市民活動支援総合情報システムにて「生涯学習施設」と登録されている200施設を対象に,質問紙による郵送調査を実施した.調査内容は,高齢障害者の施設利用状況,障害への配慮・具体的対応策,ニーズに応じたプログラムの有無,高齢障害者が施設を利用する際の具体的問題点などであり,現在分析を進めているところである.
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