2004 Fiscal Year Annual Research Report
初等・中等教育における学力向上の理念と政策に関する日独比較研究
Project/Area Number |
16530515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柳澤 良明 香川大学, 教育学部, 助教授 (40263884)
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Keywords | PISA / TIMSS / ゆとり教育 / 全日制学校 / 教育スタンダード |
Research Abstract |
今年度は以下の点について取り組んだ。 第一に、日本の初等教育における学力向上の理念と政策に関する情報を収集し、分析を行うという課題に取り組んだ。日本においても、PISA、TIMSSの結果を受けて学力低下問題が取り上げられるようになってきている。それにともない、ゆとり教育の見直しが叫ばれ、学力向上の理念や政策に関する論議が高まってきている。しかしながら、まだ学力向上の理念や政策が明確化されているとはいえず、ここ数年の動向を見定める必要があるというのが日本の現状である。 第二に、ドイツの初等教育における学力向上の理念と政策に関する情報を収集し、分析を行うという課題に取り組んだ。ドイツでは、2000年に実施されたPISAの結果をうけて、学力向上に関する論議が巻き起こり、さまざまな取り組みが模索されてきている。その中でもとりわけ重要な取り組みが、全日制学校の拡充と教育スタンダードの改訂および作成である。前者は、伝統的に午前で終わる学校教育を午後まで延長し、さまざまな教育的ケアを提供しようとするものである。後者は、教育目標や児童・生徒が身につけるべき能力に関する枠組みを意味し、初等教育の修了時、あるいは第9学年の修了時での教育スタンダードの作成が進められてきている。この他に、就学前の言語支援の取り組みや教員養成改革など、多方面にわたる取り組みが見られる。 以上の2点について研究を進めたが、どちらかといえば、第二の点に比重が置かれる結果になったといえる。ドイツでは次々と新たな取り組みが進められている一方、日本ではまだ明確な方向性が示される段階に至っていないためである。その意味で、次年度においてもドイツの取り組みにやや比重が置かれることになることが想定される。
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