2005 Fiscal Year Annual Research Report
初等・中等教育における学力向上の理念と政策に関する日独比較研究
Project/Area Number |
16530515
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柳澤 良明 香川大学, 教育学部, 助教授 (40263884)
|
Keywords | PISA / TIMSS / 少人数学級 / 少人数指導 / 学習指導要領 / 教育スタンダード / 学力テスト / アビトゥーア |
Research Abstract |
今年度は以下の点について取り組んだ。 第一に、日本の中等教育における学力向上の理念と施策に関する情報を収集し、分析を行うという課題に取り組んだ。日本では、PISAやTIMSSの結果を受けて学力低下問題が取り上げられ、学力低下論争が見られた。これにともない、すでに自治体レベルにおいては各種の学力テストが広範に実施されている。また、各自治体において、学級編制の弾力化にともない少人数学級が導入され、教職員の定数改善により少人数指導も広く実施されてきている。日本野中等教育では、1人ひとりにきめ細かな指導を行うことをとおして学力向上を図ろうとする取り組みが見られる。さらに次の学習指導要領では、2003年に実施されたPISAの結果を受け、言葉の教育に力を入れていくことが明らかにされ、学力向上政策に変化が見られる。 第二に、ドイツの中等学校における学力向上の理念と政策に関する情報を収集し、分析を行うという課題に取り組んだ。ドイツでは2000年に実施されたPISAの結果を受けて学力向上に関する議論が巻き起こり、2003年に実施されたPISAの結果を受けて、依然としてさまざまな取り組みが模索されてきている。その中でも中等教育に限っていえば、教育スタンダードの改訂および作成、州レベルでの学力テストの実施、さらには、アビトゥーア制度の改革を学力向上に関する政策として挙げることができる。いずれの政策も児童・生徒の成績を学校の出口でしっかりと把握するための取り組みである。学校プログラムや学校評価といった学校組織に関する取り組みにも力が入れられており、学校という教育機関の機能を多面的に高める取り組みが見られる。 以上の2点について研究を進めた。国家レベルの理念や政策だけでなく、各自治体レベルでの取り組みにも関心を向ける必要がある。とくに日本では、教育の地方分権化が進んできており、国家レベルの取り組みだけで加く、自治体レベルの取り組みも分析していく必要がある。
|